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[BOOKデータベースより]
1970年、世界をあっと言わせた海外脱出劇には、日本人と在日台湾人たちが深く関わっていた。被弾、亡命、そして総統選―。李登輝と同時代を生き、台湾民主化運動のシンボルと言われた人物の波瀾万丈の人生を貴重な証言と史料で再現した初の本格評伝。
第1章 独裁政権に挑んだ闘い(日本で教育を受ける;将来を嘱望されたエリート;〓介石の神話を打ち崩す;「自救宣言」を作成;あと一歩のところで逮捕)
[日販商品データベースより]第2章 抑圧と絶望に耐えて(政治犯としての獄中生活;軍事法廷での判決;明日なき自宅軟禁の日々;迫る「抹殺」の危機)
第3章 自由への逃避(命懸けの脱出計画;日本の支援者たち;さらば祖国よ;衝撃と余波;謝聡敏を救った日本人)
第4章 再び台湾の地で(独立運動の精神的指導者;二二年ぶりの帰国;李登輝との友情と生き方の違い;見果てぬ夢)
被弾、亡命、総統選……知られざる台湾裏面史
彭明敏と李登輝はともに1923年生まれで台湾大学時代からの友人だったが、一方は亡命者、もう一方は総統と両極端の道を歩んだ。
民主化以前、国民党一党独裁の権威体制に立ち向かって投獄・処刑された人は数知れない。なかでも注目を集めてきたのが、台湾大学教授だった彭明敏が64年、二人の教え子とともに「台湾人民自救運動宣言」を作成・印刷して逮捕された事件である。「自救宣言」は、台湾と中国は別々の存在だとする主張が現在の「一中一台論」の原点となっており、その先見性とともに、特赦で釈放された後、当局の厳重な監視をかいくぐって海外に脱出するという決死の行動も相まって、民主化運動のシンボルとなってきた。22年に及ぶ亡命生活ののち、台湾に戻って初の総統選で当時の野党・民進党の公認候補になるなど、彭明敏の人生そのものが台湾の民主化を象徴しているともいえる。
関係者の回顧録や関連資料のほか、当事者の証言から事件の顛末と亡命の一部始終を再現し、さらに李登輝との友情や二人の対比なども盛り込んで、彭明敏の人物像をくっきりと浮かび上がらせる。台湾の民主化運動と知られざる日台交流史に光を当てた労作。