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五月に咲く桜って、どんな印象でしょうか。遅い?ようやく?いいえ、そんなことはないのです。絵本を手にして、まず、目に飛び込んでくるのは、桜の写真の表紙。一瞬にして、お花見の気分です。北海道の桜の木の開花の様子を、桜のモノローグ(わたし)で語る写真絵本です。本州で桜の見ごろを迎えるころ、わたしはまだ雪の中。ようやっと、五月、ゆっくりゆっくりと咲く準備を始めるのです。わたしがさく日は わたしがきめるおそくたって これがわたしちいさくたって これがわたしその美しさ、誇らしさ、ため息モノです。同時に、その姿は、新しい生活を始める読者へのエールにもなります。不安もあるけれど、ゆっくりじっくり、マイペースで自分らしくあることの素晴らしさ。小学生くらいから大人まで、それぞれ受け取ることができると思います。北海道出身の升井純子さんは小学校教諭の経験があり、『空打ちブルース』にて第51回講談社児童文学新人賞を受賞。桜へのまなざしにも、子どもたちへの思いが織り込まれているように感じます。写真の小寺卓矢さんは、『森のいのち』などの森林をフィールドにした写真絵本で有名ですが、子どもたちへの「写真絵本作りワークショップ」や音楽家や芸術家とのコラボレーション公演などでも活躍されています。納得のいく桜の撮影に、7年かかったという今作。選び抜かれた写真だからこその輝きを堪能してください。
(子どもの本コーディネーター 中村康子)
美しい表紙をみて、思わず、手にとりました。北海道の桜が主人公の写真絵本です。さくらの視点で語られていく言葉にひきこまれます。特に、「わたしがさく日はわたしがきめる」が、とても心にひびきました。なんだか勇気をもらえるよう。美しくて素敵な絵本なので、贈り物にしたいと思いました。今の時期にぴったりの絵本です。(あんじゅじゅさん 50代・高知県 )
【情報提供・絵本ナビ】