ゲスト さん (ログイン)
オンライン書店【ホンヤクラブ】はお好きな本屋での受け取りで送料無料!新刊予約・通販も。本(書籍)、雑誌、漫画(コミック)など在庫も充実
天下の孤本を新しい校訂本文で読み解く
九州大学出版会 辛島正雄
点
『在明の別』は平安最末期に成った王朝物語の傑作である。藤原摂関家存亡の危機に際し、春日の神の加護のもと人間界に降誕したヒロインが、たった一人で男女二人分の役割を担い、見事に家の繁栄をもたらす奇想天外な物語は、天下の孤本でもあるため、解釈困難箇所満載の物語でもあった。本書は、文献学的方法を駆使して難解な物語本文を鮮やかに読み解き、ヴェールの向こうに朧げに見えていた物語世界を、くっきりと浮き上がらせる。
『在明の別』への誘い―異性装と隠形の物語前編 『在明の別』を読む(作中和歌から何が見えるか;左大臣の恋;父と娘の旅路;右大将は誰に向けて和歌を詠んだか;死にゆくふたりを結びつける原点)後編 『在明の別』の本文校訂と読解(巻一読解考―「この君はかりかにこもり給て」を中心に;巻一本文校訂・読解考;巻二本文校訂・読解考;巻三本文校訂・読解考;巻三読解考―中宮出産の場面を中心に)
『在明の別』は平安最末期に成った王朝物語の傑作であるが、長らく散逸したものと見なされ、現存することが分かったのは戦後になってからである。藤原摂関家存亡の危機を救うため、春日の神の加護のもと人間界に降誕したヒロインが、たった一人で嫡男と姫君、男女二人分の役割を果たす奇跡の物語は、性の偽装をモチーフとする『とりかへばや』の流れを汲みつつも、さらに複雑精妙な物語世界を描き出す。しかし従来は、解釈困難な箇所の続出する「天下の孤本」を、十分な校訂が施されないまま読むほかなかった。本書では、そのように難解をもって聞こえる物語本文を、文献学的方法を駆使して鮮やかに読み解くことで、ヴェールの向こうに朧げに見えていた物語世界を、くっきりと浮き上がらせることに成功している。前編「『在明の別』を読む」では、後編「『在明の別』の本文校訂と読解」の各章でなされた検討結果に基づく新しい「校訂本文」を用いて、この物語の読解のポイントが、詳細かつ丁寧に解き明かされる。そのなかで、登場人物の複雑な絡み合いの中心にいるヒロインが、誰とどのような関係性を築いているかが、表現の微細な対応関係をも押さえながら解きほぐされてゆくさまは、壮大な謎ときを見るかのようである。竹取の翁のもとにかぐや姫がやってくるあの「物語の出で来はじめの親」を、氏の長者・左大臣のもとにヒロインが遣わされるというかたちに、大胆にスケールアップした『在明の別』の真骨頂は、本書によって初めて明らかとなる。
ページ上部へ戻る
この商品に寄せられたカスタマーレビューはまだありません。
レビューを評価するにはログインが必要です。
この商品に対するあなたのレビューを投稿することができます。
本好きのためのオンライン書店
Honya Club.comは日本出版販売株式会社が運営しているインターネット書店です。ご利用ガイドはこちら
海老原嗣生
価格:627円(本体570円+税)
【2016年04月発売】
価格:703円(本体639円+税)
【2016年01月23日発売】
渡邊隆信
価格:2,200円(本体2,000円+税)
【2023年08月発売】
1位
又吉直樹
価格:1,320円(本体1,200円+税)
【2015年03月発売】
一覧を見る
[BOOKデータベースより]
『在明の別』は平安最末期に成った王朝物語の傑作である。藤原摂関家存亡の危機に際し、春日の神の加護のもと人間界に降誕したヒロインが、たった一人で男女二人分の役割を担い、見事に家の繁栄をもたらす奇想天外な物語は、天下の孤本でもあるため、解釈困難箇所満載の物語でもあった。本書は、文献学的方法を駆使して難解な物語本文を鮮やかに読み解き、ヴェールの向こうに朧げに見えていた物語世界を、くっきりと浮き上がらせる。
『在明の別』への誘い―異性装と隠形の物語
[日販商品データベースより]前編 『在明の別』を読む(作中和歌から何が見えるか;左大臣の恋;父と娘の旅路;右大将は誰に向けて和歌を詠んだか;死にゆくふたりを結びつける原点)
後編 『在明の別』の本文校訂と読解(巻一読解考―「この君はかりかにこもり給て」を中心に;巻一本文校訂・読解考;巻二本文校訂・読解考;巻三本文校訂・読解考;巻三読解考―中宮出産の場面を中心に)
『在明の別』は平安最末期に成った王朝物語の傑作であるが、長らく散逸したものと見なされ、現存することが分かったのは戦後になってからである。藤原摂関家存亡の危機を救うため、春日の神の加護のもと人間界に降誕したヒロインが、たった一人で嫡男と姫君、男女二人分の役割を果たす奇跡の物語は、性の偽装をモチーフとする『とりかへばや』の流れを汲みつつも、さらに複雑精妙な物語世界を描き出す。しかし従来は、解釈困難な箇所の続出する「天下の孤本」を、十分な校訂が施されないまま読むほかなかった。本書では、そのように難解をもって聞こえる物語本文を、文献学的方法を駆使して鮮やかに読み解くことで、ヴェールの向こうに朧げに見えていた物語世界を、くっきりと浮き上がらせることに成功している。
前編「『在明の別』を読む」では、後編「『在明の別』の本文校訂と読解」の各章でなされた検討結果に基づく新しい「校訂本文」を用いて、この物語の読解のポイントが、詳細かつ丁寧に解き明かされる。そのなかで、登場人物の複雑な絡み合いの中心にいるヒロインが、誰とどのような関係性を築いているかが、表現の微細な対応関係をも押さえながら解きほぐされてゆくさまは、壮大な謎ときを見るかのようである。竹取の翁のもとにかぐや姫がやってくるあの「物語の出で来はじめの親」を、氏の長者・左大臣のもとにヒロインが遣わされるというかたちに、大胆にスケールアップした『在明の別』の真骨頂は、本書によって初めて明らかとなる。