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[日販商品データベースより]
" 超高齢社会の日本では90歳代の心不全入院は決して珍しいものではなく,むしろ当たり前の光景として捉えれている。TAVIや心臓リハビリテーションの登場により,循環器医に無縁だった“フレイル""や“サルコペニア""、“認知症""といった概念が循環器領域で当たり前のように使われるようになってきた。また,高齢者は疾患を多く抱えるのみでなく、社会的背景や人生観も個人差が大きく、何より体力・知力的な衰えは千差万別である。
人生100年時代の現代では,循環器疾患を診療する際には疾患のみを診断・治療するのではなく、高齢者の日常をどう評価して治療に応用していくのかが極めて重要であると考えている。この点に関してはフレイル・サルコペニア・認知機能・栄養の評価および評価法の概念としてのCGA(高齢者総合的機能評価)を各専門の先生からご解説いただいた。
昨今の医療技術の発展スピードは凄まじく、循環器領域ではTAVIのみならず様々な最先端技術が診療に導入されて安全かつ確実に治療がなされる分野も多い。しかし,自分の専門分野外となると診断・治療・技術の進歩に追いついていっていないことも多く、それが高齢患者の不利益になってはならない。これに関してはPCI・CABG・TAVI・MitraClipの各専門分野の先生方からご解説をいただいた。
高齢者医療では高齢者特有の病気というよりも、加齢により増加するコモンディジーズに対してどのように治療戦略を組み立てていくのかが重要となることが多い。高齢であるからこそ気を付けなければいけないことや,高齢であるがゆえに取捨選択しなければならないことも存在する。高齢者を評価しながら最先端の医療体制を熟知して診療に当たるためにも、高齢者で増加する代表的な循環器疾患として高血圧・心不全・大動脈瘤を各専門分野の先生方にご解説いただくと同時に、治療法に悩む心臓細動と弁膜症に関してはintensive careとconservative careのそれぞれの立場から紙上ディベートをしていただいた。
さらに高齢者医療は本当に日進月歩である。高齢者を診療するに当たって知っておくべきトピックスとして地域包括ケア・診診連携・在宅医療・緩和ケア・腫瘍循環器を取り上げてみた。
30年前の駆け出しの時に「80歳以上の超高齢者急性心筋梗塞に対するdirect PTCAの有用性」という演題を循環器系学会で発表した際には、「そんな年寄りにintensive careをすべきではない。その歳になると予後は年齢そのもので決まる。」と座長に切って捨てられてしまい,議論にすらならなかったことを思い出す。30年を経て、高齢者医療は特別なものではなくて当たり前のものとなりつつある。われわれが,人生100年時代にいかに高齢者の将来を見据えながら医療を提供するのかを紙上議論をしたいと思っている。
(鹿児島大学心臓血管・高血圧内科学 大石 充)"