- 現実のユートピア
-
フランコ・バザーリア著作集
L’UTOPIA DELLA REALTAみすず書房
フランコ・バザーリア フランカ・オンガロ・バザーリア 梶原徹- 価格
- 7,920円(本体7,200円+税)
- 発行年月
- 2019年08月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784622077602
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[BOOKデータベースより]
収容主義の精神医療は、患者と治療者、そして患者と社会の関係に何をもたらすのか?イタリアにおける精神病院廃絶の中心人物となった精神科医フランコ・バザーリアの思想の全容、その肉声。
不安と自己欺瞞―神経症者の人間状況
[日販商品データベースより]施設化空間としての精神病院解体―「閉鎖空間」の屈辱と自由、「オープンドア」システムの検討
身体、まなざし、そして沈黙―精神医学における主観性の謎
施設精神医学の問題―社会‐精神医学的カテゴリーとしての排除
神経症者の表現としての身体イデオロギー―神経衰弱型神経症
身体と施設―施設精神医学の課題に関する人類学的、精神病理学的考察
施設の危機か?精神医学の危機か?
『精神医学とは何か?』序文
最終解決
暴力の施設
事件/事故の問題
施設管理と運営の問題
写真集『ありえない死に方』序文
ニューヨークからの報告―人工患者
逸脱したマジョリティ
平和時の犯罪
混乱した行為―社会的諸関係におけるその機能
『桑園』序文
〈精神医学における自由の発見は、精神病院の外に出た精神を病む人の問題を生み出した。事実、人々は至るところに鉄格子、鍵、扉があり、技術もなく、時には人間性もない医療従事者の壁があることに感謝してきた。それでも問題は、とにかく扉を開くことである〉
イタリア精神医療改革の父と呼ばれ、公立精神病院の廃絶を定めた「精神保健に関する法律180号」成立の中心的人物となった精神科医、フランコ・バザーリア。本書はバザーリアの妻であり、彼の改革運動を支えつづけたフランカ・オンガロによって編まれた著作集である。
精神病院は患者と治療者の関係を規定し、また同時に多くの専門家・技術者を生み出し、彼らに患者の管理と病棟の秩序維持を委ねてきた。本書に収められた18篇の論考は、バザーリアがいくつもの精神病院の経験からいかに精神病院の廃絶=脱施設化の思想へと至ったかを詳らかにする。
精神病院という名の収容所を棄て、地域社会で病める人を支えていくとはどういうことなのか――。今日のわが国の課題にも通ずる、精神医療改革の生々しい現場を物語る重要書。