- 日本の近代美術とドイツ
-
『スバル』『白樺』『月映』をめぐって
九州大学人文学叢書 14
- 価格
- 4,400円(本体4,000円+税)
- 発行年月
- 2019年03月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784798502540
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[BOOKデータベースより]
美術批評の誕生と木版画の再興。高村光太郎「緑色の太陽」のドイツ語多用問題を出発点に、文芸雑誌を手がかりとして、思想と実践の両面から、日本近代美術におけるドイツ受容の道程を辿る。
序章(高村光太郎「緑色の太陽」を出発点として;近代日本とドイツ ほか)
[日販商品データベースより]第1章 『スバル』―日本近代美術批評の誕生(「緑色の太陽」;明治末期の美術界と文学界 ほか)
第2章 ドイツ人美術批評家―マイアー=グレーフェの『近代芸術発展史』(ドイツ人美術批評家への憧れ;マイアー=グレーフェの『近代芸術発展史』)
第3章 『白樺』―マイアー=グレーフェの『ゴッホ論』と武者小路実篤のゴッホ受容(『白樺』のドイツ近代美術受容;『白樺』のゴッホ受容 ほか)
第4章 『月映』―近代日本の前衛美術受容と恩地孝四郎(一九一〇年代美術雑誌に見るドイツ美術受容;近代日本の前衛美術受容 ほか)
終章(「生の芸術」論争と「絵画の約束」論争;「美術著述家」およびドイツ美術受容者の再評価 ほか)
西洋の油絵技法を取り入れて誕生した日本の洋画には、常に西洋美術受容の問題がつきまとう。その際に研究対象となるのは、いつもフランスであってドイツではない。たしかに日本が受け入れたのはゴッホやセザンヌなどフランス近代絵画であった。しかし、実際にはそれらはリヒャルト・ムーターやユーリウス・マイアー=グレーフェなどドイツ人美術批評家の書物を通じてもたらされていた。近代日本の西洋美術受容において、実践面ではフランスが重視されていたが、その一方で美術を言葉で支える思想面ではドイツが重要な役割を演じていたのである。
本書はこうした表面上には現れにくいドイツの影響を探るため、明治末期から大正にかけて創刊された『スバル』『白樺』『月映』を手がかりとして、これまで本格的に論じられることのなかった「日本近代美術におけるドイツ受容」の実相解明を思想と実践の二面から目指している。この三雑誌は、いずれも近代洋画の発展に貢献をなした文芸雑誌であるとともに、ドイツとの関わりも深い。『スバル』『白樺』では思想面での受容を、『月映』では実践面の受容を詳細にたどることができる。事実、『スバル』や『白樺』で美術批評を執筆していたのは木下杢太郎や武者小路実篤らドイツ文化の影響下にあった文学者であり、『月映』で活躍した恩地孝四郎はドイツ美術雑誌に親しんだ木版画家であった。恩地はカンディンスキーの木版画受容を通じて日本初の抽象画となる《抒情 あかるい時》を完成させている。ドイツと日本、美術と文学を横断する探究によって、ドイツは日本の近代美術に、思想面では本格的な美術批評の誕生を促し、実践面では木版画の再興と抽象画の成立をもたらしたことが明らかとなっていく。