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[BOOKデータベースより]
世界中で愛され続ける冒険譚。初邦訳から100年!繰り返し訳され、子ども達を魅了してきた理由に迫る。
序章 『ニルスのふしぎな旅』とスウェーデン
[日販商品データベースより]第1章 大正時代に『ニルスのふしぎな旅』を訳した人たち
第2章 『ニルスのふしぎな旅』と文人たち
第3章 昭和・戦争期の『ニルスのふしぎな旅』と子どもたち
第4章 『ニルスのふしぎな旅』はいかにして誕生したのか
第5章 戦後日本におけるさまざまな『ニルスのふしぎな旅』
第6章 『ニルス』を訳した人たちのその後
第7章 完訳への道
第8章 ほんとうの『ニルスのふしぎな旅』
第9章 『ニルスのふしぎな旅』で見る日本とスウェーデン
魔法で小さくされた少年がガチョウに乗って国中を旅する冒険譚『ニルスのふしぎな旅』。スウェーデンで1906六年から07年にかけて刊行された、女性作家セルマ・ラーゲルレーヴによる一大長編物語(全二巻)です。この本、じつは「国土愛」の涵養を目的とする小学生向けの地理読本として書かれたものでした。しかし、時を置かず各国語に訳され、世界中で児童文学書として読まれることになりました。
2018年は、日本・スウェーデン外交樹立150年という記念すべき年です。同時に『ニルス』初邦訳100周年でもあります。初の邦訳書は1918年、二巻のうち第一巻のみを訳した『飛行一寸法師』です(香川鉄蔵訳、大日本図書刊)。それ以来、さまざまな邦訳版が誕生しました。ただし、長編であることやスウェーデンの地名がたくさん出てくることから、抄訳や再話、絵本などが多く出回りました。
戦前は雑誌に連載され、主人公と動物たちの胸躍る活躍とダイナミックな展開が、それまでの日本にはなかった冒険譚として人気を博しました。でもそれが一気に拡大したのは、1980年に放映が始まったテレビアニメのおかげでしょう。
時を超えて繰り返し訳され、時代によって作品像を変えながらも、不死鳥のごとく命脈を保ち、読み継がれてきた日本版『ニルス』。訳者をはじめ、この作品を情熱をもって世に送り出してきた人たちは、いったい『ニルス』の何にそれほど魅せられたのでしょうか。そして、子どもたち、いや日本人は、それをどのように受け止めてきたのでしょうか。本書は地理教育を専門とする筆者が、その謎を解き、その意味を探るものです。
近代化のスタートをほぼ同じくするスウェーデンと日本ですが、その歩みは必ずしも同質ではありませんでした。その差異の背景にある風土や国民性の比較も、本書の一つの読みどころです。(むらやま・ともこ)