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[BOOKデータベースより]
皇極・持統の古代から江戸後期の光格上皇まで、天皇の多くは上皇になった。実は、天皇家の長い歴史から見て、明治・大正・昭和という「死後退位」の三代こそ異例なのである。上皇の存在を長く知らなかった国民は、二〇〇年ぶりの「生前退位」を前にして、「天皇より上皇のほうが偉くなってしまわないか」と心配している。しかし、ひとたび歴史に目をやると、院政を布いた上皇はほんの一部だった。江戸の頃には上皇の存在価値は高まって、良い先例も現われている。上皇のあり方を含む天皇制の議論は、目先の事象にとらわれず、広く歴史に目を向けて行なうべきものだろう。
序章 新帝践祚を前に
第1章 光格上皇の先例から学ぶ
第2章 古代の上皇と先例
第3章 名君の死と摂関政治
第4章 院政―「治天の君」の権力と陰謀
第5章 武家政権と両統迭立
第6章 上皇不在は、乱世の証
第7章 皇統を守るということ