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[BOOKデータベースより]
太平洋戦争末期、子どもたちの命を守った保母がいた。日に日に空襲が激しくなる東京から、園児53人を連れて埼玉の無人寺へ。「疎開保育園」を作る、それはこれまで誰もやったことがないことだった。戦争への怒りと空腹、24時間保育に疲れ果て、もうやめようか?と迷い、それでも―園児たちの命を守り抜いた若き保母たちの戦いの記録。
プロローグ(「ヘイタイサーン、オーイ…」;バスは走る、三十六年前に向かって)
[日販商品データベースより]第1章 「保育園も疎開はできます」(一九四五年八月十五日―埼玉県南埼玉郡平野村高虫;幼児疎開を単独で決行 ほか)
第2章 荒れ寺に園児と保母がやってきた(一里半を、いま歩けば…(一九八〇年);疎開先へ出発の日 ほか)
第3章 東京大空襲と熊谷空襲のはざまで(ゆでた大根の上、ごぼうとにんじんの鯉はひるがえる;久保庭正夫・輝夫、一家全滅 吉田節子、父親以外全滅 藤ノ木健之、一家全滅 ほか)
エピローグ(井の頭保育園の卒園式;保母たちのその後―年譜と手書きによる意見)
2019年1月に公開の映画『あの日のオルガン』の原作本。太平洋戦争末期、東京都品川区、京浜工業地帯のすぐそばにある戸越保育所では、日に日に空襲が激しくなり、園児たちは命の危険にさらされていた。そんな中、まだ20代の若い保育士たちが、これまで例のなかった未就学児の集団疎開を決意する。同じ東京の、愛育隣保館と合同で行われることになった集団疎開。国中が食糧難のなか、やっと見つかった受け入れ先は、埼玉県蓮田市の無人寺、妙楽寺だった。ここで、保育士11人、園児53人の「疎開保育園」がはじまった。さみしがる子供たちのケア、深刻な食糧不足、東京大空襲で孤児になってしまった園児。やがて空襲は、疎開保育園のある埼玉にも頻繁にやってくるようになり、「私たちのやっていることは、正しいのだろうか。戦争が、終わることはあるのだろうか……?」と、若い保育士たちは、迷いを持ち始める。これまで知られてこなかった「疎開保育園」という存在にスポットをあて、戦争が子供たちを巻き込んでいく様子を、関係者たちへの丹念な取材に基づいて克明に描くノンフィクション。