- 兵士というもの
-
ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理
みすず書房
ゼンケ・ナイツェル ハラルト・ヴェルツァー 小野寺拓也- 価格
- 6,380円(本体5,800円+税)
- 発行年月
- 2018年04月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784622086796
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[BOOKデータベースより]
兵士という「普通の人々」は戦場や軍隊組織で何を考え、暴力をどう内面化していくのか。盗聴された捕虜同士の赤裸々な会話という画期的史料を、歴史学と心理学で分析し各国に衝撃を与えた書。
プロローグ
[日販商品データベースより]第1章 戦争を兵士たちの視線から見る―参照枠組みの分析(基礎的な方向づけ―ここではいったい何が起きているのか;文化的な拘束;知らないということ;予期 ほか)
第2章 兵士の世界(「第三帝国」の参照枠組み;戦争の参照枠組み)
第3章 戦う、殺す、そして死ぬ(撃つ;自己目的化した暴力;冒険譚;破壊の美学 ほか)
第4章 国防軍の戦争はどの程度ナチ的だったのか
補遺
英米軍はドイツ兵捕虜同士の赤裸々な会話を盗聴し、膨大な記録を残した。この画期的史料を歴史学と心理学で分析し兵士の本質に迫る。
第二次世界大戦中の英米軍は捕虜にしたドイツ兵の収容所に盗聴器を仕掛け、詳細な記録をとっていた。その総量は付随資料を含むと15万ページに及ぶ(記録の概説は「補遺」に記載)。
兵士から見た戦争については従来、調書、家族への手紙、回想録などが利用されてきたが、自己を正当化したり後づけの知識で補正されるなど、史料として多くの限界を抱えていた。しかし、盗聴されていることを知らない捕虜同士の会話は赤裸々で、ドイツ国防軍のみならず軍隊一般の心性史に新しい視座を拓く可能性を持っていた。
戦後も保存され1996年に機密解除されながら、書架に埋もれていたそれを発見した歴史家ナイツェルは、史料としての性格を看破し、社会心理学者ヴェルツァーに協力を求めた。人々の内面に触れるこうした史料の可能性を汲み尽くすには、心理学の知見が欠かせない。本書はこうして成った共同研究の成果である。
分析にあたって本書は、個人の行動主体性よりも「参照枠組み」という集合的概念を重視している。たとえば顕彰は象徴的だ。ドイツは詳細な顕彰システムを導入していたが、兵士の受章への願望は驚くほど大きく、行動を規定する要因として働いた。
兵士から見た戦争、第三帝国、そして兵士自身の世界を構成する暴力、破壊、戦争犯罪、感情、セックス、技術、総統信仰、イデオロギー、勝利への信念――。戦争というもの、兵士というものを理解するために、盗聴記録から読みとれることは何か。本書の結論は、ときとして予期しないようなものとなるかもしれないが、我々の理解を核心に向けて一段深めてくれるだろう。