- 多電子系の超高速光誘起相転移
-
光で見る・操る・強相関電子系の世界
基本法則から読み解く物理学最前線 12
- 価格
- 2,200円(本体2,000円+税)
- 発行年月
- 2016年11月
- 判型
- A5
- ISBN
- 9784320035324
[BOOKデータベースより]
第1章 極短パルスレーザーで覗く超高速の世界
第2章 臨界現象と不均一性
第3章 強相関電子系と金属‐絶縁体転移
第4章 光励起状態
第5章 電荷秩序型有機伝導体における光誘起絶縁体‐金属転移
第6章 ダイマーモット型絶縁体における光誘起相転移
第7章 光誘起相転移の初期課程
第8章 瞬時強電場が拓く固体のコヒーレント極端非平衡
光を使って物質の構造を調べる新たな観測技術、光誘起相転移についての入門書。強相関電子系の光誘起相転移の研究を、この10年間に筆者らのグループで行われた結果を中心にまとめた。
この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。
- 基礎レベルから入試レベルまでつなぐ物理のブリッジ[力学・波動]
-
価格:1,485円(本体1,350円+税)
【2023年07月発売】
- 超高速分光と光誘起相転移
-
価格:3,960円(本体3,600円+税)
【2014年03月発売】
- 物理数学の直観的方法 普及版
-
価格:1,188円(本体1,080円+税)
【2011年09月発売】
- 基礎系物理学量子力学 1
-
価格:2,200円(本体2,000円+税)
【2020年04月発売】
- 量子ビーム物質科学
-
価格:4,180円(本体3,800円+税)
【2013年04月発売】
光の照射によって物質が変質する現象は染料の退色光合成反応視覚の初期過程など古くから身近な問題として知られている。光による物質変換に関する研究の長い歴史の中で光が当たった“瞬間”に物質の中で何が起きているのか?と言う疑問は常に多くの人々の関心を集めてきた。秒ミリ(10-3)秒マイクロ(10-6)秒ナノ(10-9)秒ピコ(10-12)秒フェムト(10-15)秒そしてアト(10-15)秒へと半世紀以上を経て時間分解スナップショット測定の時間精度が向上するのに合わせその時代の最先端技術を用いた実験が様々な光応答の“からくり”を解き明かしてきた。今や光照射によって変化する物質内の原子や分子の配置や結合の変化のみならずそれよりもはるかに高速な電子の動きが捉えられつつある。
こうした先端極短パルスレーザーを用いた多くの研究対象の中で強相関電子系固体は光誘起絶縁体−金属転移や磁気転移など巨視的な変化を示すという特徴を持っている。およそ1023個に及ぶ互いに相互作用しあっている膨大な数の電子が周期1-数フェムト秒周期の電場や磁場によってダイナミックに躍動する世界はこの物質系に特有なものであり光スイッチとしての応用と多体系の非平衡ダイナミクスの基礎研究の両面から注目されている。そこにはどんなからくりが隠されているのだろうか。本書はこのような強相関電子系の光誘起相転移の研究をこの10年間に筆者らのグループで行われた結果を中心にまとめたものである。
まず光誘起相転移や強相関電子系の物性を理解するために必要な基本概念として相転移の臨界現象と不均一性(第2章)強相関電子系と絶縁体−金属転移(第3章)固体の光励起状態(第4章)に関する説明を行う。その後56章(電荷秩序型有機絶縁体における光誘起絶縁体−金属転移ダイマーモット絶縁体における光誘起相転移)7章(光誘起相転移の初期過程)8章(瞬時強電場が拓く固体のコヒーレント極端非平衡)ではここ10年に行われてきた光誘起相転移に関する研究の展開のなかで筆者らの研究グループで行ったものを中心にまとめた。5