- エスの系譜
-
沈黙の西洋思想史
講談社学術文庫 2385
- 価格
- 1,463円(本体1,330円+税)
- 発行年月
- 2016年10月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784062923859
[BOOKデータベースより]
「考える」あるいは「思う」という事象に主語はあるのか。「思われること」は本当に「私に思われ」ているのか。この問いに対する哲学者たちの近代以降の悪戦苦闘。ニーチェやフロイト、シェリングやフィヒテは、沈黙する「エス=それ」の淵源を見出したのか。「人」「言語」あるいは「普遍的なもの」とも呼ばれるものを巡る探求史。
プロローグ―エスを奪い合う者たち
第1章 エスの問題圏
第2章 エスの淵源を求めて
第3章 変貌するエス
第4章 エスへの抵抗
エピローグ―「エスの系譜」のゆくえ
「なぜか分からないがそうしてしまった」、「まるで自分ではない何かにやらされているようだった」……。こうした話は作家や芸術家の創作についてよく聞かれるが、日常の中にも同様の経験があるのは誰もが知っていることだろう。みずからの行動の原動力だったことは明らかなのに、それが何なのかは明言できないもの。その得体の知れない力を示すために着目されたのが、ドイツ語の代名詞「es(エス)」だった。
[本書の内容]
はじめに
プロローグ――エスを奪い合う者たち
邂逅/確執
第一章 エスの問題圏
フロイトとニーチェ/ニーチェの因果性批判/ランボーの反抗/「絶対的に近代的」であること/デカルトの問い/非人称の「思われること」へ
第二章 エスの淵源を求めて
「神なる自然」とゲーテ/フィヒテの課題/近代の逆説/シェリング来都/フォイエルバッハの示唆/端緒としてのリヒテンベルク/ビスマルクのエス/ハルトマンという桎梏/フロイトとハルトマン/「台無しにされたショーペンハウアー」
第三章 変貌するエス
「自然の精神化」と「自然の物質化」/ヘルムホルツからマッハへ/ルナンの二面性/ドレフュス事件とエス/スーリー、そしてエクスナー/ユダヤ人とは誰なのか/遺伝する「エスの経験」/「世界霊」としてのエス/ジェイムズと心霊主義/ユングとの葛藤/獲得形質の遺伝/シュタイナーとゲーテの出会い/シュタイナーとハルトマン/シュタイナーのエス
第四章 エスへの抵抗
カール・クラウス登場/抵抗するローゼンツヴァイク/ブーバーの「君」とエス/「始源語」としてのエス/ウィーン学団のエス/ラッセルによる仲介/ヴィトゲンシュタインのエス/ハイデガーのエス/『モーセという男と一神教』へ/伝承するエス、伝承されるエス/エスの稲妻
エピローグ――「エスの系譜」のゆくえ
メルロ=ポンティと「沈黙」/ルソーからレヴィ=ストロースへ/ドゥルーズのほうへ/傷をもつ者
あとがき
書 誌
学術文庫版あとがき
関連年表
解説 来るべき本文――十九世紀という問題(國分功一郎)
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<それ=エス>とは「何か」なのか。ニーチェ、フロイト、フィヒテ、シェリング……、その作用に気づいた近代以降の哲学の悪戦苦闘。