- 無機化合物の構造を決める
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X線回折の原理を理解する
化学の要点シリーズ 15
- 価格
- 2,090円(本体1,900円+税)
- 発行年月
- 2016年07月
- 判型
- B6
- ISBN
- 9784320044203
[BOOKデータベースより]
第1章 結晶とX線(結晶とX線回折;波としてのX線 ほか)
第2章 X線回折の幾何学(ベクトル;波を数式で表現する ほか)
第3章 構造因子(フーリエ変換とフーリエ展開;3次元のフーリエ変換 ほか)
第4章 結晶構造の対称性(結晶構造における対称操作;点群対称操作 ほか)
付録
無機化合物の構造決定の主役であるX線回折。第一線の研究者群が、回折現象と結晶学という非常に奥の深い物理的・数学的な理論を視覚的に理解しやすい図、イラストなどを多く挿入し、わかりやすく解説。
X線結晶構造解析は物質のミクロ構造を決定する強力な方法であり特に無機化合物の構造決定の主役である。しかしX線結晶構造解析は回折現象と結晶学という非常に奥の深い物理的・数学的な理論を基礎としていてこれらを学ぶ機会の少ない化学者には理解が難しい。本書はその難しい基礎の部分をわかりやすく解説したものである。
X線結晶構造解析では例えば逆格子やフーリエ変換など非常に抽象的な概念が頻出する。これらのX線回折・結晶学の基礎となる重要な概念を実感をもって理解し使えるようになることが本書の目標である。それとともに構造解析を実際に行ったり論文の記載を理解したりするために必要な実用的な基礎知識についても触れた。例えば空間群記号の読み方など初学者には必要であるがほとんどの教科書に解説がない事項であり丁寧に説明した。また特に無機化合物の構造解析では重要となるX線の吸収や対称心の有無にかかわる問題については詳しく述べた。
本書は大きく2つに分かれている。前半ではX線の回折と結晶の周期性について説明しており初等的な回折現象の説明から始まり波数空間(逆格子空間)についての解説や3次元のフーリエ変換について多くの図を用いて述べている。後半は結晶の対称性をテーマとしているが他書とは異なって後半にあるため結晶の周期性や構造因子と関係づけて結晶の対称性について深くかつ実用的な解説を行っている。
X線構造解析をすでに始めている学生・研究者にとっても「わからずに使っていたがこれはそういう意味だったのか」という発見があることと期待される。