[BOOKデータベースより]
戦後の苦しい時代、新聞をとる余裕のある家は多くありませんでした。どうしても新聞が読みたくて配達を始めたてつおに、新聞を読ませてくれる老夫婦がありました。時はたち、おじいさんに次いでおばあさんも亡くなったとき、てつおは思いがけない事実を知ります―。「新聞配達に関するエッセーコンテスト」最優秀作を絵本化!よみきかせ5さいから。ひとりよみ7さいから。
[日販商品データベースより]戦後の苦しい時代、新聞をとる余裕のある家は多くありませんでした。
どうしても新聞が読みたくて配達を始めたてつおに、新聞を読ませてくれる老夫婦がありました。
時はたち、おじいさんに次いでおばあさんも亡くなったとき、てつおは思いがけない事実を知りますーー。
「新聞配達に関するエッセーコンテスト」最優秀作を絵本化!
*よみきかせ5さい〜
*ひとりよみ7さい〜
小学5年生だったてつおが新聞配達を始めたのは、どうしても新聞が読みたかったから。「読みにおいで」と言ってくれる、おじいさんとおばあさんがいたから。今から70年以上も前のこと。戦争が終わって1年が経ち、お父さんを亡くしたてつおは、お母さんのふるさと出雲で暮らしています。てつおは、三人の子どもを育てるために働くお母さんをいつも手伝っています。そんなてつおがある日言うのです。「ぼく、しんぶんはいたつしたいんだ。」お母さんは心配しますが、てつおはただ新聞が読みたいからだと言いはります。それからてつおは毎日、くる日もくる日も新聞を配達しました。配達し終わると、みはらのおじいさんの家で新聞を読ませてもらうのです。やがておじいさんが亡くなり、それでもおばあさんが「読みにおいで」と言ってくれて・・・。「新聞配達に関するエッセーコンテスト」に寄せられた岩國哲人さんの最優秀作品から生まれたこの絵本。政治家となった岩國さんの実話をもとにしたお話なのだそうです。てつおにとって、子どもにとって、新聞を配達するという仕事、そして新聞を読むということ、まわりに助けられてきたということ、それらがどれだけ人生の糧となってきたのか。絵本を読むだけで、その感謝の気持ちが心から伝わってきます。時代や環境が変わっても、このエピソードはきっと子どもたちの心のどこかにひっかかってくれるはずでしょう。
(絵本ナビ編集長 磯崎園子)
新聞週間が10月15日から昨日21日まであった。
最近新聞を読まない人が増えているとよく聞く。
テレビやインターネットなど情報を得る手段が多様化し、
その即時性など新聞はもはや絶対ではない。
それに新聞が正義だとは誰も信じていない。
戦時中の報道規制をいうまでもなく、平和時であって伝えられることは
すべてではないし、偏向している。
今度新聞がどのようになっていくのか、誰もわからないのではないのだろうか。
この絵本、『おばあさんのしんぶん』は、
2014年の新聞配達エッセーコンテストで最優秀賞になった
岩國哲人(てつんど)さんのエッセーが原作となっている。
それを絵本作家松本春野さんが絵本として仕上げた一冊だ。
岩國さんがこのエッセーを書いたのは78歳の時。
少年の日の新聞配達の日々を綴った。
戦争で早くに父を亡くした岩國少年はどうしても新聞を読みたいと
新聞配達のアルバイトを始める。
そんな少年の気持ちを察してか、読み終わった新聞を読んでもいいという
おじいさんがいた。
おじいさんが亡くなったあとは、おばあさんが少年にそれを許してくれる。
そのおばあさんが亡くなった時、実はおばあさんは字が読めなかったことを知る。
おばあさんは岩國少年のために新聞を購読し続けてくれていたのだ。
のちにこの岩國少年は出雲市長や衆議院議員となる。
そして、このエッセーで少年の頃の感謝を綴る。
この絵本の最後に岩國さんはこう記している。
「生きる糧として、人生の指針として、いつも傍らにあった新聞」と。
今もそうであるか、新聞は問われていないか。
岩國哲人さんは2023年10月6日、87歳で逝去された。(夏の雨さん 60代・埼玉県 )
【情報提供・絵本ナビ】