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[BOOKデータベースより]
第1章 「病い」の表象―医療人類学・医療社会学からのアプローチ
[日販商品データベースより]第2章 「疾患」(disease)、「病気」(sickness)、「病い」(illness)としてのハンセン病
第3章 現代日本社会における「病い」としてのハンセン病―宿泊拒否事件を通して
第4章 ハンセン病問題の運動論的展開
第5章 中国ハンセン病回復村ワークキャンプにおけるハンセン病の「再」表象
第6章 承認欲求のもう一つの接続先―自己実現型ボランティアの可能性と陥穽
補論 「散るもよし今を盛りの櫻かな」―七五歳の社会復帰
結語 差別なき社会を目指すにあたって
著者「序」より
治療法の確立、法の改革、裁判における判決など、ハンセン病の差別を軽減させる条件は整う一方であるように見えるにもかかわらず、ハンセン病に対する差別はなぜ存続するのか。(中略)本書全体で試みていることは、これまで歴史学やライフストーリーの社会学などで論じられることの多かったハンセン病問題を、経済社会情勢をふまえてより広範な分野からアプローチすることである。
(中略)日常の生活において、ハンセン病を意識する機会はほとんどないと言ってよい。ハンセン病を意識することがほとんどないまま、ハンセン病そのものは世界的に着々と制圧されている。「人類が共通して犯した罪」という「負の遺産に対する忘却の始まり」のようにも思える。(中略)ハンセン病を病んだ人びとがひっそりと宿している記憶に耳を傾け、それを記録として残し、将来世代の記憶へとつなげていくことが、私たちの世代の歴史的な責任であろう。そして、このような「内観的な」視点を確保しつつ、その背景にある社会的経済的情勢を観察者として「外観的に」捉える姿勢の双方が要請されているはずである。