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[BOOKデータベースより]
本書は、メジャーな「体制」の歴史に、マイナーな「体制」の歴史の視座を持ち込むことで、メジャーな「体制」の歴史を批判的にとらえかえそうとする書である。たとえば、本書は、直接的に「福祉国家体制」や「治安体制」や「グローバル経済体制」を扱ってはいないし、それらに対する内在的批判も行なっていない。本書が企図しているのは、こうしたメジャーな体制が取りこぼしてきた人々や問題や生活のあり様から、別の「体制」といった視座を打ち立てることで、これまでの「体制」の歴史に新たな分断線や補助線を引くことである。
第1部 生存の体制―労働と社会関係のエコノミー(戦時福祉国家化のもとでのハンセン病政策―乞食労働・都市雑業労働の編成;構想される「生業」への経路―貸付による離陸;満洲開拓者の再定住と生活再建;「女の町」の変貌―戦後における京都花街の年季奉公をめぐって)
第2部 セキュリティの体制―体制批判の時代とその時代性(精神衛生の体制の精神史―一九六九年をめぐって;答刑論争にみる死刑存置を支える思考様式;叛逆者としての「磯部浅一」の発見―『日本暗殺秘録』(一九六九年)をめぐって;Notes on the Snake Dance/Zigzag Demonstration)
第3部 周辺の体制/体制の周辺―体制変容の只中での少数派たち(集団の名 集団の顔―アルゼンチンの社会変動と「ニッケイ」;アポリアを生み出す自主管理―パナマ東部先住民エンベラから見る先住民統治体制;モンゴル牧畜社会における二つの近代化―開発政策の転換と都市近郊の牧畜経営をめぐって)
体制の歴史―時代の線を引きなおす