[BOOKデータベースより]
工業用水として計画された琵琶湖疏水を変じて、近代和風文化の粋を示す自然主義の庭園に用い、パトロンたちが自己を演出し、人びとと会い、決断を下し、孤独に沈潜するための「場」を創造しつづけた七代目小川治兵衛―その活動の軌跡から、日本における近代が生み出した精神を読み取る。
1章 近代化のなかの琵琶湖疏水開発
2章 はじまりとしての山県有朋
3章 庭園におけるブルジョワジーと華胄界
4章 琵琶湖疏水を庭園へ
5章 庭園世界の拡大
6章 数寄者たちの創造のあり方
7章 最後のパトロン
山県有朋、住友友純、西園寺公望、近衛文麿…。近代日本の支配層が愛した小川治兵衛の庭には、彼らの私的全体性を支える表現があった。庭師・7代目小川治兵衛とその時代について語る。
数々の名だたる近代和風庭園を造り続けた庭師・小川治兵衛という人物を通して、近代日本のあり方を見直す。 小会PR誌『UP』の好評連載を加筆・再構成し待望の書籍化!山県有朋西園寺公望近衛文麿……国家の最大限の西欧化を推進しつつ私的には伝統に縛られない和風の表現を求めた明治から昭和前期の政治家・企業家たち.彼らが愛した植治の庭を通して日本の近代化のあり方を見つめる.建築に歴史的まなざしを注いできた著者による近代化論.