- 茗荷谷の猫
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- 価格
- 759円(本体690円+税)
- 発行年月
- 2011年09月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784167820015
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sige
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時代の流れに埋もれる人々
読むうちに連作短編集であることに気付く。時代物かと思っていると江戸時代から戦後の昭和30年あたりまでの時の流れの中で、現れては消えていく人々を描いた作品。
“何かに取り付かれ”“こだわり”続け、しかしうまく行かないままこの世から消える。大部分の人たちがこのように無名のまま時代に流されて消えていくのだと思う。しかしこのような人々の土台があってこそ今の世の中があるということをひしひしと感じさせられる。それにしても、表題の“猫”も時代の流れに埋もれた一人(一匹)?
蛇足だが、作品に出てくる「品川神社の“品川富士”」や「鳩の森八幡神社の“千駄ヶ谷富士”」など東京の“超低山”を巡ったことがあったが、3.11の地震の後だったので残念ながらどこも立ち入り禁止で登れなかった。
[BOOKデータベースより]
茗荷谷の一軒家で絵を描きあぐねる文枝。庭の物置には猫の親子が棲みついた。摩訶不思議な表題作はじめ、染井吉野を造った植木職人の悲話「染井の桜」、世にも稀なる効能を持つ黒焼を生み出さんとする若者の呻吟「黒焼道話」など、幕末から昭和にかけ、各々の生を燃焼させた名もなき人々の痕跡を掬う名篇9作。