- 街道をゆく 28 新装版
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朝日文庫 し1ー84
耽羅紀行
- 価格
- 814円(本体740円+税)
- 発行年月
- 2009年02月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784022644817
[BOOKデータベースより]
韓国南端の済州島を、そこを故郷に持つ在日の畏友二人を先達に歩く。日本に押し寄せた蒙古軍が馬を肥やした漢拏山麓の草原をめぐり、巫人や海女など古層で日本文化とつながる民俗を訪ねる。繰り返し表れるのは、朝鮮史五百年の停滞をもたらした科挙および朱子学への強い批判と、巻き込まれざるを得なかった民衆への哀憐の情。著者による朝鮮(民族)論の集大成の観がある一冊。
耽羅紀行(常世の国;焼跡の友情;俳句「颱風来」;三姓穴;塋域の記;石と民家;“国民”の誕生;郷校散策;士大夫の変化;北から南への旅;父老とカプチャン;神仙島;モンゴル帝国の馬;森から草原へ;お札の顔;朝天里の諸霊;不滅の風韻;思想の惨禍;車のはなし;故郷;虎なき里;憑きものの話;近くて遠い;シャーマン;泉靖一氏のこと;赤身露体;『延喜式』のふしぎ)
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井沢ファン
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流罪の島
韓国の済州島の歴史・紀行文。韓国では柑橘系の唯一の一大産地で、海女やシャーマニズムなど昔の日本と生活スタイルが似ていることを指摘している。また、蒙古が元として中国・韓国を統治していた時代に、日本に襲来していきた蒙古軍がこの島の漢拏山麓の草原で蒙古馬を放牧し、現地人として土着化したことなども興味深い。そして朝鮮半島が高麗朝から李氏朝鮮にとってかわられてからの儒教・朱子学が人民をいかに苦しめたという歴史が説明されている。そして李氏朝鮮が科挙制度を導入し政治闘争が絶えず、その負け組で死罪を逃れたものが島流しにされた島であることが記され、日本の隠岐や八丈島に似ている。また、李氏朝鮮は奴婢を含めていくつもの賤民を作っていたが、漁民や聖職者もその中に入っていたのは日本と異なっている。海女のように裸になることは賤しいこと、また目に見えない神や霊魂を語ることはタブーで孔子の論語に怪力乱神を語らずとある。共に儒教の影響で日本とは異なることが印象的だった。著者によると、日本の江戸時代に儒教・朱子学を幕府は推奨したにもかわらずその被害を受けなかったのは、儒教ではなく儒学を学んだだけで生活や政治にはさほど取り入れなかったことが功をなしたと言っている。まったくその通りで日本はその点では非常に良かったと思う。