- 家守綺譚
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- 価格
- 605円(本体550円+税)
- 発行年月
- 2006年10月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784101253374
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ユーザーレビュー (4件、平均スコア:5)
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MP
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文句なしの満点
時代は明治,舞台は近畿圏であろうか.あとがきでは明治30年代半ば,京都と滋賀の境目あたりと推測されているが,作中でオスマン帝国の軍艦エルトゥールル号の遭難が発生した記述があるので,明治23年(1890年)の春から翌年にかけてのこととなるだろう.
大学を卒業して間もない学士の綿貫征四郎の視点で日常が綴られている.物書きで身を立てることを望んでいるがそこまでには至らず,英語学校の非常勤講師も「辞めてやって」早逝した親友の家守をすることからこの物語は始まる.
征四郎の日常と言いながらすぐそばには異界が存在し,人外のものも当たり前のように認められている.まるで失われた自然のように.
征四郎自身が綴っている体裁を採っているので,明治の文学作品を思わせる文体だがほぼ口語のため若い年代であっても難なく読めるだろう.各編数ページ,全編でも200ページに満たないこともあり物理的にも非常に読みやすい.
明治と怪異という取り合わせから泉鏡花を連想されるかもしれないが,征四郎のやや抜けた気質,親友の高堂を始めとする他の登場人物との関係から鏡花のような暗さやエロティシズムではなく,ほのかな温かみを感じさせる雰囲気が全編を通じて流れている.
過多な言葉とならず心情や情景を描写する筆者の手腕には思わず「これ,これ」と唸らされる.読了するや否や再び読み返した作品はこれが初めてかもしれない.
今後も何度も読み返すであろうし,多くの方にも薦めたい作品である.
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ほんらぶキャンペーン
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「3 SPECIAL BOOKS」レビューコメント
【いつもの1冊】 日常とあっちの世界が紙一重で重なる
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ほんらぶキャンペーン
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「3 SPECIAL BOOKS」レビューコメント
【その他】 まだ自然とひとつながりで生活をしていた頃は、本当にこういう不思議な世界とも重なっていたのかも、と思ってしまう本。様々ないきものたちの描写も美しい。
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sige
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文章が魅力的だ
タイトルからは想像できないような目次の植物名28種。まるで「園芸百科」のようだ。物語の面白さもさることながら、文章が光っている。明治の文豪のような文章で飄々とした語りは心地よい。
“綺譚”とあるように不思議な話ばかり出てくる。まるで童話を読んでいるような感じだ。“物の怪”も沢山登場し非常に楽しい。
“かはたれどき”という耳慣れない言葉が出てきたので調べたが“たそかれどき”とあわせて勉強になった。200ページもない小品だが味のある作品だ。お勧めです。
[BOOKデータベースより]
庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。―綿貫征四郎の随筆「烏〓苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。