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[BOOKデータベースより]
“離魂病”が早くから日本人の間で知られていたことは『源氏物語』の「夕顔」の章に六条御息所の“生霊”として登場することでもわかる。明治に入っても三遊亭円朝の作に『離魂病』があるが、森鴎外の『分身』をはじめ泉鏡花や芥川龍之介が多重人格を競って取り上げ作品化したのは、現代人こそ複雑な深層心理をかかえているからにほかならない。そこで明治期から現代に至る日本文学の作品中から生霊もしくは多重人格をテーマにした小説を選んで検証し、読者の作品鑑賞の便宜に供することとした。森鴎外から山田風太郎まで、文学史の底に埋もれている異色作品を発掘した、画期的評論。
森鴎外「分身」/芥川龍之介「二つの手紙」「人を殺したかしら?」
[日販商品データベースより]吉井勇「生霊」/梶井基次郎「Kの昇天」/小酒井不木「二重人格者」
西尾正「陳情書」/久生十蘭「生霊」「妖術」
薄風之介「寄生の手」/桑原静而「ドッペルゲンゲル」
三橋一夫「私と私」
渡辺啓助「分身」「変身術師」「アカーキ・アカキエヴッチの生霊」
海野十三「三人の双生児」/香山滋「月ぞ悪魔」
平井呈一「エイプリル・フール」
橘外男「地獄への同伴者」
佐藤春夫「田園の憂鬱」〔ほか〕
森鴎外、夢野久作、江戸川乱歩、山田風太郎、澁澤龍彦など、明治から現代までの日本文学の中から、生霊もしくは多重人格をテーマにした作品を選んで検証。文学史の底に埋もれている異色作品を発掘した画期的評論。