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[BOOKデータベースより]
「黒船」から始まる、現代の大叙事詩。いつまで戦争を続けなければならないのか。いま世紀を越えた「宿題」に応えるために。
第1部 太平洋へ向かうベクトル(外圧と薄幸の異端児;『次の一戦』の結末;“リー将軍”の冒険 ほか)
[日販商品データベースより]第2部 日米未来戦記の流行(欧州の荒野に立ちて;戦争は最大の冒険なり;あるスパイの回想 ほか)
第3部 物語と現実の交錯(東京大空襲を予知して;戦争を知らない作家の登場;ニューヨークで聞いた“怪談” ほか)
日本人は外圧(ガイアツ)の中で何を考えてきたか
日露戦争の勝利は日米開戦の序章でもあった。太平洋を挟んでの対抗意識が芽生え、両国で数々の「日米未来戦記」が発表されている。現実的な戦力分析によるシミュレーション、自国の堕落を憂いながら奮起を促す精神論からSF的発想のドラマティックなものまで、日本人の精神に多大な影響を与えている。中でもヨーロッパまで出向き、第一次世界大戦の戦禍を目の当たりにした水野広徳の『次の一戦』は、きわめて的確な内容で、開戦の無謀さを警告するものであったが、開戦=勝利への期待から、重視されなかった。軍部の独走だけがクローズアップされるが、国民の間にこそ、戦争を望む気運があったのではとの示唆は、日本人の精神史を辿る上でも興味深い。