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コンラッドの中・短編小説論
南雲堂フェニックス 吉岡栄一
コンラッドは文化的二重国籍者、ないしは文化的越境者というイメージのきわめて強い作家である。コンラッドは大英帝国イギリスを最後の安息地として定めたが、イギリスの文化伝統や風俗習慣にまるごと同化できないアウトサイダー意識、あるいはポーランド人亡命者としての“異人”意識や疎外感、そこから発生する孤独感などに死ぬまでさいなまれていたはずである。ところがその一方で、当時の大英帝国の支配的イデオロギーにできるだけ同化し、ひとりのイギリス人作家として、それを代弁しようとする姿勢もみせている。本書ではこのようなコンラッドの分裂した、二律背反的な心性に焦点をあて、大英帝国への「亡命者」をキーワードにして、「海洋作家」というレッテルだけでは捉えきれない、コンラッドの文学世界を解読することを目指している。そのために、コンラッドの作家としての全体像が明らかになるような、十作の中・短編小説を選び、さまざまな論点から解読を試みている。論考の対象になっている作品は、おもに初期小説を中心にして、中・後期の作品まで視野を広げ、主題的なグループ化がはかられるような工夫がなされている。
第1章 「潟」論―“異界”と“異人”をめぐる物語第2章 「カレイン」論―隠喩としての帝国第3章 「進歩の前哨基地」論―帝国主義と砂糖をめぐる象徴的な死第4章 「闇の奥」論―冥府への下降と黒人描写第5章 「青春」論―船名変更の聖書的暗示と東洋の発見第6章 「帰宅」論―ハーヴィ夫人の家出と母性神話の崩壊第7章 「フォーク」論―カニバリズムと性衝動第8章 「ローマン公」論―愛国心とポーランド蜂起第9章 「内通者」論―政治不信と保守反動の力学第10章 「エイミー・フォスター」論―共同体と異人をめぐる排除の構造
本書は、ポーランド出身のイギリス人作家コンラッドの亡命者意識を有力な分析手段として、題材においても主題においても、その範囲が複雑多岐にわたるコンラッドの中・短編小説10作を様々な論点から解読する。
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[BOOKデータベースより]
コンラッドは文化的二重国籍者、ないしは文化的越境者というイメージのきわめて強い作家である。コンラッドは大英帝国イギリスを最後の安息地として定めたが、イギリスの文化伝統や風俗習慣にまるごと同化できないアウトサイダー意識、あるいはポーランド人亡命者としての“異人”意識や疎外感、そこから発生する孤独感などに死ぬまでさいなまれていたはずである。ところがその一方で、当時の大英帝国の支配的イデオロギーにできるだけ同化し、ひとりのイギリス人作家として、それを代弁しようとする姿勢もみせている。本書ではこのようなコンラッドの分裂した、二律背反的な心性に焦点をあて、大英帝国への「亡命者」をキーワードにして、「海洋作家」というレッテルだけでは捉えきれない、コンラッドの文学世界を解読することを目指している。そのために、コンラッドの作家としての全体像が明らかになるような、十作の中・短編小説を選び、さまざまな論点から解読を試みている。論考の対象になっている作品は、おもに初期小説を中心にして、中・後期の作品まで視野を広げ、主題的なグループ化がはかられるような工夫がなされている。
第1章 「潟」論―“異界”と“異人”をめぐる物語
[日販商品データベースより]第2章 「カレイン」論―隠喩としての帝国
第3章 「進歩の前哨基地」論―帝国主義と砂糖をめぐる象徴的な死
第4章 「闇の奥」論―冥府への下降と黒人描写
第5章 「青春」論―船名変更の聖書的暗示と東洋の発見
第6章 「帰宅」論―ハーヴィ夫人の家出と母性神話の崩壊
第7章 「フォーク」論―カニバリズムと性衝動
第8章 「ローマン公」論―愛国心とポーランド蜂起
第9章 「内通者」論―政治不信と保守反動の力学
第10章 「エイミー・フォスター」論―共同体と異人をめぐる排除の構造
本書は、ポーランド出身のイギリス人作家コンラッドの亡命者意識を有力な分析手段として、題材においても主題においても、その範囲が複雑多岐にわたるコンラッドの中・短編小説10作を様々な論点から解読する。