- 動物化するポストモダン
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オタクから見た日本社会
講談社現代新書 1575
- 価格
- 924円(本体840円+税)
- 発行年月
- 2001年11月
- 判型
- 新書
- ISBN
- 9784061495753
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ユーザーレビュー (1件、平均スコア:4)
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紺碧の空
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昨今の”萌え”氾濫は何なのか
本著は「オタク」という日本特有の文化的現象から、現在の日本社会がどのような経過をたどっているかを明らかにしようとしたものである。私はこの本に非常に示唆されることが多かった。
動物化する、というのはどういう事か。
一昔前の物語にはその物語の背後に大きな物語が存在した。それはその著者の世界観・考え方・思想・背景等々、読者はその背後を含めて物語を読む。
それが、(詳細は省くが)時代が進む中で”背後の大きな物語”というものが存在し得なくなる(戦後の日本文化が外来文化を再構築して全て造られたものだと気付いたから、等)。それでも最初は何とか背後の物語を人工的に構築して対応しようとしてきたが(たとえばガンダムの世界観)、その構図も崩壊してしまった。
現在、全ての物語の要素は「データベース」になってしまった、というのが著者の大まかな考え方だろう。これを読んで目から鱗が落ちた。自分が昨今の日本文化について感じていた引っかかりはここにあったのだろう。なぜここまで「萌え」が大量生産できるのか。なぜそこに人がはまるのか。それは作り手も受け取り手も背後の大きな物語とは関係なく、細分化され、データベース化された要素の組み合わせで”消費”するからなのだ。それを筆者は”動物化”という。
非常に示唆に富んだ良著だと思います。
[BOOKデータベースより]
オタクたちの消費行動の変化が社会に与える大きな影響とは?気鋭の批評家が鋭く論じる画期的な現代日本文化論。
第1章 オタクたちの疑似日本(オタク系文化とは何か;オタクたちの疑似日本)
[日販商品データベースより]第2章 データベース的動物(オタクとポストモダン;物語消費;大きな非物語;萌え要素;データベース消費;シミュラークルとデータベース;スノビズムと虚構の時代;解離的な人間;動物の時代)
第3章 超平面性と多重人格(超平面性と過視性;多重人格)
気鋭の批評家による画期的な現代日本文化論! オタク系文化のいまの担い手は1980年前後生まれ第三世代。物語消費からデータベース消費へ。「動物化」したオタクが文化状況を劇的に変える。
哲学の本でもなく、社会学の本でもなく、文化研究でもなく、サブカル評論でもなく、社会評論でもなく。
浅田彰と宮台真司と大塚英志と岡田斗司夫とフラットに並べて論じ、
サブカルチャーとハイカルチャーを行き来するはじめての書として、
2000年代以降の批評の方向を決定づけた歴史的論考。
また本書で語られているデータベース消費、解離的な人間といった分析は、
本が出てから十数年を経過した今日では、さらに有効性をもったキーワードとなっている。
これは、2001年当時は、本書のサブタイトルである「オタクから見た日本社会」であったものが、
いまでは「オタク」という言葉をつける必要がなくなっていることを意味している。
2000年代を代表する重要論考であるのと同時に、
2010年代も引き続き参照され続ける射程の長い批評書。