[BOOKデータベースより]
翻訳がひらいたペルシア文学の新たな地平。「翻案」―創作的要素を含む翻訳。検閲下のイラン立憲革命期、国外に逃れた知識人たちは西欧文学作品の翻案を通じて自らの思想を描き出版した。代表的な翻案文学3作品の分析から、イランの近代化の過程において翻訳、翻案が果たした役割を明らかにする。
序章 本書の視座と構成
第1章 イラン立憲革命とペルシア文学(19世紀ガージャール朝ペルシアの歴史概要;ペルシア文学史の概要と文学の近代化;翻訳と翻案)
第2章 当時の言論状況と3作品の概要(立憲革命期前夜のイランの出版状況:検閲、出版、新聞、国内外の知識人たち;3作品の構成およびあらすじ)
第3章 『エスファハーンのハージーバーバーの冒険』(1905)(先行研究と作品への評価;ミールザー・ハビーブ・エスファハーニーの生涯と作品;作品の原作と背景;『エスファハーンのハージーバーバーの冒険』解題;小結)
第4章 『72派の宗教談義』(1894)(先行研究;ミールザー・アーガーハーン・ケルマーニーの生涯と作品;作品の原作と背景;ガージャール朝時代の宗教的混乱;『72派の宗教談義』解題;小結)
第5章 『アフマドの書』(1893、1894、1906)(先行研究と作品への評価;アブドゥルラヒーム・ターレボフの生涯と作品;『アフマドの書』成立の背景:その出版および『エミール』、『なぜこうなるのか―自然学と天文学の簡単な話―』との関係;『アフマドの書』解題;小結)
終章 翻訳と創作の隙間地
翻訳がひらいたペルシア文学の新たな地平
イラン立憲革命(1905-11)によって初めて憲法が制定され、王政から立憲君主制に移行したイラン。この時期のイランの近代化/西欧化の過程において重要な役割を果たしたのが、西欧文学の翻訳や翻案(創作的要素を含む翻訳)である。検閲下のイラン立憲革命期、これらの作品は亡命/移住した知識人によって国外で出版され、「立憲革命文学」の一つとしてイランの人々の改革への気概を高めた。本書では、イラン立憲革命期の歴史的・社会的背景および文学史を俯瞰した上で、代表的な翻案文学3作品『エスファハーンのハージーバーバーの冒険』(1905)、『72派の宗教談義』(1894)、『アフマドの書』(1893, 1894, 1906)を詳細に分析。イラン文学の近代化の過程を辿るとともに、イランにおける翻訳や翻案の特異性に光を当てる。言語的・文化的転換点としての近現代翻訳・翻案文学作品に注目し、ペルシア文学研究に新たな示唆を与える革新的な研究書。
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