- ゴシック美術形式論
-
文春学藝ライブラリー
Formprobleme der Gotik.- 価格
- 1,331円(本体1,210円+税)
- 発行年月
- 2016年02月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784168130601
[BOOKデータベースより]
ヨーロッパ中世に花開き、大聖堂で頂点を極めた「ゴシック美術」はどのように産み出されたのか?ドイツを代表する美術史家が、芸術を創造する人類の根本的衝動にまで遡り、ゴシックの内奥に潜む情念を鮮やかに描き出す。『抽象と感情移入』に続く主著。
美学および芸術論
人間心理学としての芸術学
原始人
古典人
東方人
初期北方的装飾における潜在ゴシック性
北方的な線の無窮の旋律
動物装飾からホルバインまで
ゴシックの表現世界における超越主義
北方的宗教心〔ほか〕
20世紀にモダニズムが出現する以前、美術史・建築史を研究することとは、様式を確定し、その変遷がなぜ起こったのかを探り、記述することであった。
特定の時代と地域に固有の様式が生まれるのはなぜか。
その問いに答えるため、ドイツを代表する美術史家ウィルヘルム・ヴォリンガー(1881-1965)は、アロイス・リーグル「芸術意志」という概念を援用した。「芸術意志」とは、特定の時代・地域の様式を創造せしめた固有の情念や衝動のことである。
人類史を見渡し、ヴォリンガーが掴み取った「芸術意志」の二つの祖型は、「抽象」と「感情移入」である。「抽象」には、人間と自然界との敵対的な関係が潜み、「感情移入」には、融和的な関係が潜んでいる。そして、それぞれから生み出された代表的な芸術様式は、エジプトのピラミッドに代表されるような幾何学的・抽象的な造形芸術と古代ギリシャの自然をそのまま写しとったかのような造形芸術である。しかし、人類史を再び鳥瞰したとき、この二つの「芸術意志」では、解明しきれない様式が見出された。中世ヨーロッパに花開いた「ゴシック美術」である。それは、「感情移入」が創造した様式とは言いがたい。しかし、それは幾何学的で抽象的なパターンを繰り返す造形でもなく、「抽象」から生み出されたとも考えにくい。
では、ゴシック美術を創造した「芸術意志」とは何なのか。その問いにヴォリンガーが見事に答えたのが本書である。その記述はきわめて魅力的で説得力に満ちている。1911年に発表された本でありながら、読む者の芸術の見方や考え方を変えてしまうことだろう。
石岡良治氏による、行き届いた解説を得て、名著がここに甦る。
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