- 月のしずく
-
- 価格
- 803円(本体730円+税)
- 発行年月
- 2000年08月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784167646011
この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。

ユーザーレビュー (1件、平均スコア:4)
レビューを評価するにはログインが必要です。
この商品に対するあなたのレビューを投稿することができます。
-
sige
-
こんな状況もあったら面白い
みすぼらしい男のところに美しい女が転がり込む。そのまま仲睦まじくといかないわけだが、男ならこんなことが起こらないかなあと思うのではないだろうか。
その他、ヤクザに絡む話や、北京での話など。面白かったのは、酔っ払って中央線を乗り過ごし、山梨県の甲斐大和という無人駅に、深夜、降り立った男女二人の話の「花や今宵」。偶然に同じ失敗をしてしまった男女の顛末が面白い。
男と逃げ、ローマで観光ガイドをしている母親に、中国人の彼と再会に来た娘の思いを描く「ピエタ」も、娘の複雑な心情をよく表している。朴訥とした中国人の彼の心もすばらしいし、教会のミケランジェロの作品ですら、母と娘の心の仲立ちに一役買っているように思う。最後に余韻の残る作品だ。
[BOOKデータベースより]
三十年近くコンビナートの荷役をし、酒を飲むだけが楽しみ。そんな男のもとに、十五夜の晩、偶然、転がり込んだ美しい女―出会うはずのない二人が出会ったとき、今にも壊れそうに軋みながらも、癒しのドラマが始まる。表題作ほか、子供のころ、男と逃げた母親との再会を描く「ピエタ」など全七篇の短篇集。