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北朝鮮の特権階級に生まれ、謀略機関・統一戦線事業部に勤務。韓国や国内向けの文化戦略に重きを置く政権のために金王朝礼賛詩を書き、若くして「将軍様の接見者」になり順調に出世の道を歩む。招待所暮しで幹部たちから聞く裏話は、簡単には近づけない権力中枢の秘密だった。何不自由ない暮しを捨て、貴族詩人は表現の自由を求めて脱北する。脱北から9年、初めて明らかにする金王朝の真実。
第1章 私が統戦部の職員になるまで(ヤマハがくれた夢;私の偶像はジョージ・ゴードン・バイロン ほか)
第2章 招待所で漏れ聞いた内密の話(衣岩招待所に集まる対南工作部署のトップたち;日朝国交正常化会談の参考資料 ほか)
第3章 『金朝実録』が語る北朝鮮の真実(金正日の『金朝実録』編纂指示;金正日の粛清対象は金日成のパルチザン同志たち ほか)
第4章 私はなぜ脱北したのか?(文学の自由は首領主義だけ;変貌した故郷 ほか)
金正日のお抱え詩人はなぜ脱北したか。
北朝鮮の統一戦線事業部とは、武力挑発から文化的なテロに至るまで、多様な工作を行う部署。著者は、その中の「101連絡所」に勤務していた。そこでは、メディア、小説、詩、音楽などによる、韓国や自国民の感性操作を行っていた。
文学的な才能があった著者は、すぐに金正日の心を動かす詩を書いた。やがてある日の夜中、突然電話が鳴り、カーテンで目隠しをした車や汽車、魚雷艇を乗り継ぎ、ある場所へ連れて行かれる。将軍への謁見が叶ったのだ。
「将軍様の接見者」となった著者は、金王朝を讃える歴史書「金朝実録」の編纂を命じられる。その資料を調べる過程で、以下のような秘密を知った。
1994年 金日成は金正日のせいで死んだ
1997年 金正日は「深化組事件」により、金日成側近の粛清を始めた
1995〜98年 配給制度の崩壊により、約300万人が国内で餓死した
2002年 日本の小泉訪朝団は金正日の「拉致認定」と引き換えに、114億ドルの支援を提示した
その他、「つつもたせ」「現地妻の村」「妊娠工作」、赤軍派、横田めぐみさんの生死……北朝鮮の謀略の数々を本書で明かす。統一戦線事業部元幹部による初めての手記。
富裕層に生まれ、対南心理を操る若き詩人として将軍に謁見。やがて金王朝の秘密と故郷の惨状を知る。暗殺予告された脱北詩人の告発。 金正日お抱え詩人はなぜ脱北したか
富裕層に生まれ、対南心理を操る若き詩人として将軍に謁見。やがて金王朝の秘密と故郷の惨状を知る。暗殺予告された脱北詩人の告発。