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[日販商品データベースより]
「規範」的進路から「逸脱」する若者たちの願望を「音楽」のなかに探る!
『ハイロウズの掟 青年のかたち』(2005年)で、パンクバンドの《ブルーハーツ》から《ハイロウズ》までに表出された歌詞の転変を、青年心理学や社会心理学の概念的枠組みを駆使しながら論じ、「規範」への「対抗」音楽として、それらの楽曲が存在していたのでは?と考えた著者が、その後、たまたま歌番組でアイドルグループ《欅坂46》の「不協和音」(2017年)に出会い、このグループが表出する歌詞が「パンクロック風」であることは即座に感じ取れたのだが、歌詞中の「僕は嫌だ」という「平手友梨奈」の叫びには、不思議な感動に襲われることとなった。それは、男子青年の心情にばかり意識が向き「男性パンク」に執着していた著者の探索動機への疑問を強烈に引き起こすものだったのだ。そんな中で《アーバンギャルド》や《大森靖子》を知ることになる。それでも、新たな探索対象に、ぴったりなキーワードを見つけることは困難だった。そこで「パンク」の視点を一旦捨象し、SNSの流行語に過ぎなかった「メンヘラ」(メンタルヘルスに問題を抱えるひと)という用語を洗い直すことにしたのである。「メンヘラ」という用語が出現した頃からこの問題に関心をもっていたり、あるいは初期から《アーバンギャルド》や《大森靖子》のファンである読者には、「周回遅れ」と思われるかもしれないが、著者の授業を受講した女子学生が、彼女らに焦点をあてたいと著者に告げたことが、「メンヘラ」という語から思春期の人間精神を見つめてみようという契機となったのである。第1章では、SNS世界で生み出されたこの用語が日常世界に溢れ出し、「メンヘラ」系音楽を生み出した経緯を探索した。近代文学、近代の被服文化の中で語り継がれる「少女性」の流れが「メンヘラ」現象へと連なっていることを見た。明治期から少女たちが、こころに「少女性という虚構」を抱え、「セーラー服」という装置によって、その「少女性」が強化されてゆき、歴史的に今の少女たちに繋がっている様子を分析した。第2章では「メンヘラ」系音楽文化の先端をいく《アーバンギャルド》が創出した楽曲を対象として、心理学的概念で補強しながら彼らの企みを明確にした。中心メンバー「松永天馬」が創出する世界は、彼が男性であるがゆえに、客観的なかたちで「メンヘラ」系女子の世界が歌われている。第3章では《大森靖子》の世界を論じる。彼女は楽曲が「メンヘラ」系に分類されることを好まない。自分の中の否定的側面を自認しながらも肯定的に生き続けていくという生き方こそ、人間の本質としているからだ。そうした《アーバンギャルド》とは対照的な《大森靖子》の描く世界の分析を進めた。「メンヘラ」系を標榜するアーティストも存在するし、解釈的に「メンヘラ」系の枠組みに包み込まれるアーティストもいる。このことについては、第4章で論じた。