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[BOOKデータベースより]
ただ生きてきた時間の中に溶けていくのは、なんて心地よいことなんだろう。卓抜なユーモアと鋭い人間観察、リズミカルな文章と意表を突く展開。会心の短篇集!
[日販商品データベースより]初の海外旅行を前に急逝した私。幽霊となり念願の地を目指すが、なぜかブラジルに…。卓抜なユーモアと鋭い人間観察、リズミカルな文章と意表を突く展開。表題作他、川端賞受賞作「給水塔と亀」を含む会心の短篇集。
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七つの短編が織りなす、「日常」と「非日常」
表題作「浮遊霊ブラジル」は、初の海外旅行を目前に亡くなった男性の、「浮遊霊」としての数奇な日常を追う。そこに微塵のホラーなどなく、こんな浮遊霊なら一度はお会いしたく。その筆致は軽快で、まるでラテン音楽を聴いているかの如く綴られており、常にコミカルでクスッと笑える。2013年川端康成文学賞受賞作の「給水塔と亀」は、定年を迎えた独り身の男の、故郷への引っ越しから始まる。数十年前に過ごした場所、男が果たして何を求めて再びこの地を選んだのか。その新しい住まいに、微かな記憶の残る給水塔が浮かび上がり、亀が砂を歩く。淡々とした文章の中に、郷愁と実存がないまぜになり、グンと背中を押す力強さが不思議と感じられる。全編に通底する、少し斜に構えつつも暖かい眼差しは、疲れた日常の大いなる清涼剤になること間違いなし。
レビュアー:小熊基郎 / リブロecute日暮里店 / 男性 / 30代
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初の海外旅行を前に死んでしまった私。幽霊となって念願の地を目指すが、なぜかブラジルに到着し……。卓抜なユーモア溢れる全7作。