- 偶然の祝福
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- 価格
- 616円(本体560円+税)
- 発行年月
- 2004年01月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784043410057
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ユーザーレビュー (1件、平均スコア:3)
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sige
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この作品を祝福してあげたい
この作家の「博士の愛した数式」を読んだときには感激したのだが、この作品は読後、レビューを書こうと思ったら言葉が出てこなかった。“偶然”“祝福”という言葉と内容が結びつかなかったからだ。もう一度読みなおして簡単なメモを取ると、少し見えてきた。
これは作者自身の話でもあるように思う。アイディアが浮かばずに苦悩している時の姿なのかと思う。
そんな時、思い出を辿るうち、失踪者たちが、あるいはリハビリで知り合った女性が、あるいはお手伝いさんが、ストーカーのような男が、通りがかりの男性が、南の島で知り合った指揮者が、そしてとどめは息子の睾丸から出てきた袋と自分の背中から出てきた袋が、偶然にも自分に幸運をもたらしてくれた。それらの幸運でこの本が1冊完成したというわけだ。
思い返せば、自分も人生の岐路で、偶然に貰った幸運が結構ある。
[BOOKデータベースより]
お手伝いのキリコさんは私のなくしものを取り戻す名人だった。それも息を荒らげず、恩着せがましくもなくすっと―。伯母は、実に従順で正統的な失踪者になった。前ぶれもなく理由もなくきっぱりと―。リコーダー、万年筆、弟、伯母、そして恋人―失ったものへの愛と祈りが、哀しみを貫き、偶然の幸せを連れてきた。息子と犬のアポロと暮らす私の孤独な日々に。美しく、切なく運命のからくりが響き合う傑作連作小説。
[日販商品データベースより]見覚えのない弟にとりつかれてしまう女性作家、夫への不信がぬぐえない妻と幼子、失踪者についつい引き込まれていく私……心に小さな空洞を抱える私たちの、愛と再生の物語。