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[BOOKデータベースより]
鎌倉時代初期、藤原定家によって編まれた「百人一首」は、カルタとしての普及もあって、私たちが最も親しんでいる和歌のアンソロジーである。時代ごとにさまざまな読まれ方を許容する奥深い世界は、現代においてもまた、今日ならではの社会環境や情報の上に立った読みを可能にするはずである。本書は、現代詩の第一人者が、海外の詩歌にも思いを馳せながら、百首について、豊かな読みの可能性を示すものである。
秋の田のかりほの庵の苫をあらみわが衣手は露にぬれつつ(天智天皇)
[日販商品データベースより]春すぎて夏来にけらし白砂のころもほすてふ天のかぐ山(持統天皇)
あしひきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む(柿本人麻呂)
田子の浦にうち出てみれば白砂の富士のたかねに雪はふりつつ(山部赤人)
おくやまにもみぢ踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋はかなしき(猿丸大夫)
かささぎのわたせる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞふけにける(中納言家持)
あまの原ふりさけ見れば春日なる御蓋の山にいでし月かも(安倍仲麿)
わが庵は都のたつみしかぞ住む世をうぢ山と人はいふなり(喜撰法師)
花のいろはうつりにけりないたづらに我身世にふるながめせしまに(小野小町)
これやこの行くも帰るも別れてはしるもしらぬもあふ坂の関(蝉丸)〔ほか〕
鎌倉時代初期、藤原定家によって編まれた「百人一首」。優れた作品は、後世の読みによって輝きを増す。現代詩の第一人者が、海外の詩歌にも想いを馳せながら、百首について、豊かな読みの可能性を示す。