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[BOOKデータベースより]
底本には、水府明徳会彰考館蔵天正本『太平記』を用い、国立国会図書館蔵義輝本・内閣文庫蔵野尻本・龍谷大学図書館蔵本によって校訂を加え、天正本『太平記』を読みやすい形で再現したもの。
[日販商品データベースより]動乱の南北朝時代を活写した歴史・戦に文学の傑作を、最新の訳註で。
後醍醐天皇崩御の後、足利尊氏は政権を確立したかにみえましたが、新たに弟の直義(ただよし)との確執が表面化してきます。本書(3)では、直義の栄光と破滅を主筋に据えて、およそ15年の歴史ドラマを展開します。No.2の直義は事実上幕府を掌握し、一般にも評判がいい実力者。これを面白く思わないNo.3の執事高師直(こうのもろなお)は、あることないことNo.1の尊氏に告げ口します。影の薄い兄は、これにのせられて、のちに執事の陰謀が露顕しこれを処罰してすらも、やはり弟を殺さざるをえないのでした。師直なる人物は、京都中に妾を囲って日替りに通うというツワモノで、塩冶(えんや)判官の奥方に横恋慕し、女装をして風呂場をのぞきに行くほどの好色ぶりを発揮、しかも思いがかなわぬと知るや罪をかぶせて判官一家を殺させてしまう、と徹底した悪役に描かれます。しかし一方では、師直にしても、楠木正成の遺児正行(まさつら)と戦えばこれを一蹴してしまうくらいの優れた武将なのです。怪物佐々木道誉も、バサラと称する私生活とは別に、戦場で、政務で、辣腕をふるっています。こうした人間の多面性を描いて、単なる実録に終わっていないところに、『太平記』の魅力があるように思います。全編は、策謀・抗争と戦争アクションをスピーディーな荒々しいタッチで描く南北朝版『仁義なき戦い』といった趣ですが、乱世に翻弄され旧敵の亡霊に悩まされる武将たちには、『マクベス』の悲しみを読み取ることもできそうです。