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- 中谷宇吉郎随筆集
-
- 価格
- 935円(本体850円+税)
- 発行年月
- 1988年09月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784003112410
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- Tucker
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この師匠にして、この弟子あり
著者の師匠にあたる寺田寅彦はユニークな発想を持つ物理学者でありながら、随筆の名手としての顔も持っていた。
寺田寅彦は夏目漱石に俳句を習っていた、という経歴の持ち主。
「我輩は猫である」にいつも妙な実験をしている物理学者、水島寒月という人物が登場するが、この人物のモデルこそ寺田寅彦だと言われている。
師匠が自分の専門以外にも俳句をたしなんでいたように、弟子の著者も南画(水墨画のようなもの)を趣味としていたり、科学随筆を書いたりして、正に「この師匠にして、この弟子あり」という感じがする。
(南画を書く事についての随筆も収録されている)
本書の中、師の思い出についての随筆の中で「茶碗の湯」という師匠の有名な科学随筆に触れ、その内容を絶賛しているが、著者自身の科学随筆もかなり面白い。
冒頭に挙げた「雪は天から送られた手紙である」という言葉。
最初は雪を詩的に例えたものとばかり思っていた。
が、雪の結晶の形は上空の気温によって変わってくるらしい。
そのため、雪の結晶の形を調べることで上空の気象状態が分かるので「手紙」と言っていたのだ。
師匠の寺田寅彦も知り合いの地質学者を訪れた時、「石ころ一つにも地球創世の秘密が記されている。我々は、その"文字"を読む術を知らないのだ」という旨のことを言ったのが、随筆に残っている。
また「茶碗の湯」では茶碗から立ち上る湯気をダシに気象現象などを子供向けに解説している。
そんな師匠の影響を受けたからこそ、「雪は天から送られた手紙である」という言葉に繋がったのだろう。
「一は全、全は一」
というのは「鋼の錬金術師」(荒川弘)で出てきた考え方だが(どうやら一神教にもそのような考え方があるらしいが)「一」から「全」を想像するのは、かなり難しそうだ。
[BOOKデータベースより]
中谷宇吉郎(1900‐62)は雪と氷の研究に新生面をひらいた物理学者として世界的に名高いが、また多くの秀れた随筆の筆者として知られる。「雪を作る話」「立春の卵」といった科学随筆、生涯の師とあおいだ寺田寅彦の想い出や自伝的スケッチなど、どの1篇にも随筆を読む愉しさをたっぷりと味わうことができる。40篇を精選。
雪の十勝
雪を作る話
雪雑記
「霜柱の研究」について
私の生まれた家
『西遊記』の夢
簪を挿した蛇
九谷焼
由布院行
一人の無名作家
『日本石器時代提要』のこと
茶碗の曲線
指導者としての寺田先生
寺田先生と銀座〔ほか〕