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[BOOKデータベースより]
吉田松陰が追い求めた“日本の本質=國體”。それを最初に発見した天才兵学者・山鹿素行の『中朝事実』を完全解説。神話を起点とした歴史は、今も、そして未来へも脈々と我が国に流れゆく。
第一部 山鹿素行と國體論の名著『中朝事実』について(山鹿素行が発見した「日本の本質」;『中朝事實』自序を読む―「日本」の発見;第一章「天先章」を読む;第二章【中国章】を読む;第三章【皇統章】を読む;第四章【神器章】を読む;第五章「神教章」を読む;第六章「神治章」を読む;第七章「神知章」を読む;第八章「聖政章」を読む;第九章「礼儀章」を読む;第十章「賞罰章」を読む;第十一章「武徳章」を読む;第十二章「祭祀章」を読む;第十三章「化功章」を読む;『中朝事実』の終わりにあたって)
[日販商品データベースより]第二部 近代における國體思想の変遷(明治維新及び戦後復興の奇跡;會澤正志斎『新論』執筆の契機;『新論』の構成;現代に通じる『新論』の國體論;君民一体の國體;江戸時代以前からあった朝廷の西洋に対する危機意識;國體の維持と天皇の叡慮;世界史における日本の孤独な戦い;米国との戦いと昭和天皇の御聖断;國體の本源は神話にあり;吉田松陰の國體への目覚め;国防論としての『新論』における國體論;松陰から乃木希典へ―國體論の継承;「みことのり」(宣命)に登場した國體;明治天皇による國體の表明;昭和の國體論―天皇機関説問題と國體明徴(めいちょう)運動;戦後の國體思想に対するタブーへの挑戦;『國體の本義』が問題とした「個人主義」;西洋と日本との人間観の相違―個をめぐって;「人と人との間」として生きる日本人;國體思想に見る天皇の魂の継承、神宮の「いのち」の継承)
世界的にグローバル化が進み、大量の移民流入によって生じる問題が日々大きく取り沙汰される今、「国の本質とは何か」「主権とは何か」という点について改めて議論が求められる時代となった。歴史・伝統・文化を踏みにじり、利益の最大化のためにすべてを一元化せよと猛威を振るうグローバリズムの前で、皇位継承問題も危機的状況にある。喫緊の課題として「国民国家の本質を守りつつ、何に対して門を開かねばならないか」が問われているとも言える。この状況は、幕末に日本が攘夷か開国かを迫られた時とも酷似している。
「日本とは何か?」幕末、この問いに応えようと苦吟し、かつ躍動し、その後の国家建設に最も大きな影響を与えた人物の一人が吉田松陰だった。その松陰が獄中で最後まで求め続けた本こそ、素行の手になる『中朝事実』だったのである。著者は江戸前期の思想家で山鹿流兵法の始祖・山鹿素行。松陰は山鹿流兵学師範であった。江戸前期、幕閣を頂点とする官僚支配階層は、朱子学を価値軸の中心に置くことで「武による支配から文による支配への転換」を目論んだ。朱子学的な厳格な知識・序列だけを日本の支配原理とするためである。エリートによる机上の支配構造。だがそれは、中国こそが永遠に日本の師であり続けること、我が国が中国に対して、知的にも従属し続けることを意味していた。
これに疑問を抱いたのが山鹿素行だった。素行の時代、中国大陸の地では、まさに明から清への王朝交代・易姓革命が起きていた。漢民族が女真族に王朝を奪われ、それまでの伝統や文化、旧体制が破壊しつくされているとの情報をつぶさに得ていた素行は、ならば彼の国はすでに「中華」などではない、悠久の歴史の中で一度たりと王朝交代のない我が国こそを「中朝」とすべきと考えたのである。
素行は『日本書紀』に立ち返り、やがて万世一系の皇統に導かれてきた我が国の本質を見きわめる。神代から続く自然との合一・尊崇の念、そして皇室と民との一体化こそが我が国の本質だとの確信を得る。そしてそれこそが、幕末の後期水戸学・曾澤正志斎が『新論』において國體と定義し、吉田松陰が希求し、やがて乃木希典大将へと引き継がれていく、かけがえのない「日本の姿・原点」だったのである。
AI革命が迫り、グローバリズムの暴風が吹き荒れる中、日本人が守るべきアイデンティティが問われている。日本とは何か? 日本人の生きる道とは何か? 自国民のみが他を睥睨すればそれでよいというエスノセントリズムとは違う、より公正で慈愛に満ちた振る舞いを実現しうる人たち。それが日本人なのではないのか? そしてその中心には、常に象徴としての皇統が神代以来、安定して鎮座している。古き神話の世界と最先端科学が矛盾しない、無二の存在。これが、未来へと続く日本の不変の國體なのである。
「激動期を迎えた世界の中で、臨機応変に対応すべきもの、そして変わらざるものを理解し、先祖と自然への尊崇を失わぬ日本の価値を再発見すべきではないのか」その問いかけこそが、本書における著者の本旨なのである。