この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。
- 中国民族政策の歴史的研究
-
価格:7,480円(本体6,800円+税)
【2024年07月発売】
- あいうえお健康法 改訂版
-
価格:1,760円(本体1,600円+税)
【2024年04月発売】
|
ゲスト さん (ログイン) |
|
オンライン書店【ホンヤクラブ】はお好きな本屋での受け取りで送料無料!新刊予約・通販も。本(書籍)、雑誌、漫画(コミック)など在庫も充実
この商品をご覧のお客様は、こんな商品もチェックしています。
価格:7,480円(本体6,800円+税)
【2024年07月発売】
価格:1,760円(本体1,600円+税)
【2024年04月発売】
[日販商品データベースより]
【奥村哲「まえがき」より】(抜粋)
本書の原著者の吉田豊子は、2016年秋に発病し、苦しい闘病生活を経て、2021年6月に亡くなった。
その間、居住する京都だけでなく、福岡や北九州の病院にも入院して、治療のかたわら本書の原稿の整理を続けていた。
……本書の重要なテーマの一つは中国の国民政府によるモンゴルの独立承認問題である。吉田は第3章で、「従来の研究では、中国が[抗日戦争の終結直前の]モスクワ交渉までソ連の真の意図を知らず、その結果受身的にモンゴルを手放さざるを得なかったという捉え方をしている」(94頁)と記し、その注では「ほとんどの研究がそうであるので、詳細を省く」としている。本書第1章で吉田が明らかにしたように、事実は、その前年の1944年3月に新疆とモンゴルの境界付近で起こった、アルタイ事件の経過の中で、ソ連が関与を認めてモンゴルを独立国として扱う形の国際的な声明を出したため、モンゴルの独立を承認させようとするソ連の意図を、中国の国民政府もはっきり認識した。声明のことを知り、〓介石は「ひどく憤り悶えた」という。しかし、抗日戦争の早期終結にはソ連の参戦が必要であり、アメリカもまたソ連に宥和的であった。非常に苦しい立場に立たされた国民政府は、だからこそ、問題を極力新疆での局地的紛争として処理し(このため政府は同事件を「新疆事件」と呼び、先行研究も多くはそれに従った)、なんとかソ連との関係改善を図ろうとしたのであり(第2章)、ヤルタ会談の後には秘密協定の中身を探り、対応策を練っていたのである(第3章)。ソ連が東北に進攻し、終戦間近で行なわれた中ソのモスクワ会談の過程は、以上の事実を踏まえれば、台湾やアメリカなどで新たに公開された新史料に基づいて、全面的に捉え直されねばならない(第4〓8章)。確かに、交渉過程で決断を迫るソ連側に対して、中国側はしばしば「モンゴル問題も議題になるとは想定していなかった」と弁解しており、それが先行研究の眼も曇らせたのであるが、それらはモスクワ(宋子文・王世杰ら)と重慶(〓介石)の間で頻繁にやりとりするために、ソ連側に弁解した表向きの発言でしかなかったのである。……吉田は台湾やアメリカで公開された膨大な?案や、〓介石・王世杰ら関係者の日記などを駆使して、以上の過程を論証しているが、非常に多くの引用文などからは、苦渋に満ちた政策の決定過程のみならず、「憤り悶えた」〓介石(第1章)や、モンゴル独立承認後の世論を憂慮して重い気分でモスクワに向かう王世杰を次女が励ます(第7章)など、当時の関係者の痛切な心情までが汲み取れる。まさしく国民政府は、民族主義と現実主義の狭間で、主体的ながら苦しい模索と選択をしていかざるをえなかったのである。本書の研究史上の位置と出版の意義は、それらのことを明らかにしたことにある。