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[日販商品データベースより]
科学的知見を、いかにして政策に実装するか。
研究成果は、なぜ政策で使われないのか。エビデンスに基づく政策立案(EBPM)の重要性が広く認識される一方で、最先端の研究成果がそのまま政策に反映されることは稀である。現実の政策決定プロセスと科学的エビデンスのあいだには、異なる言語、価値観、インセンティブの衝突による深い「死の谷」が存在する。
本書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)が、2011年より15年にわたり推進してきた「科学技術イノベーション政策のための科学 研究開発プログラム」の成果を総括し、「政策のための科学」をめぐる理論と実践の両面から、研究と政策をつなぐ原則・戦略・戦術を体系化したものである。
第1部の理論編では、科学と政策を橋渡しする主体としての「学術的政策起業家」に着目する。研究者が政策実装の過程で担っている「シャドーワーク」の実態を浮き彫りにし、これまで個人の暗黙知として埋もれてきた実践を「実装科学」の視座から分析する。政策関与のアプローチを「移行型」「課題設定型」「伴走型」「概念利用型」の4類型として体系化するとともに、政策過程で求められるエビデンスのあり方を再定義する。
第2部の実践編では、ジェンダーバイアス、スター・サイエンティスト、子どもの貧困、医療提供体制、イノベーションとレギュレーション、インフラマネジメント、縮減社会における農林地利用、感染症対策と経済活動、感染症数理モデルなど、現代社会における複雑な課題に挑んだ9つのプロジェクトによる政策実装の事例を収録する。政策実装をめぐる「死の谷」を克服した研究者自身の筆によるナラティブを通じて、政策実装のリアルなダイナミズムが描き出される。
本書は、科学的知見の政策実装をめぐる困難を、研究者の「個人の努力」やスキルの問題ではなく、我が国の科学-政策インターフェースにおける構造的課題として捉え直す。
そして、その克服に向けた理論的枠組みと実践的知見を提示する、これまでにない「政策実装論」である。
エビデンスに基づく政策形成に関わる研究者・行政官・中間人材、そして社会課題の解決を志すすべての実務家・学生にとって必読の書。