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[日販商品データベースより]
本書は、2024〜2025年度に筆者が実施したデジタルマイクロスコープを用いた銅鏡の調査研究成果をまとめた報告書である。
顕微鏡は、誰もが小学生の頃に用いたことがある機器であるが、考古資料に対して用いられた研究は少ない。これは可動性などの面で使用しにくい難点があったからである。
しかし近年、可動性や性能が良く、なおかつ安価なデジタルマイクロスコープが登場した。さらに筆者は、奈良県立橿原考古学研究所とともに富雄丸山古墳出土巨大蛇行剣のデジタルマイクロスコープを用いたクリーニング作業を共にし、その有益性を実感した。そこで、デジタルマイクロスコープを用いて銅鏡の製作技術を可視化することを目的に調査を実施した。その結果、研磨痕跡や巣のなかに赤色物質が充填する事例を複数で確認した。また、理化学的分析から物質がベンガラである事例を確認した。
さらに平原1号墓出土鏡群では、日本最大の超大型内行花文鏡の比較分析から、この赤色物質が研磨剤として、比較的初期の研磨に用いられた可能性を見出した。このほか、天理参考館所蔵伝富雄丸山古墳出土三角縁神獣鏡からは、再研磨の際に赤色物質が用いられた可能性も明らかとなった。
これらの調査研究は、今後の新たな銅鏡研究へ向けた基礎的研究であり、本書ではその基礎情報を報告している。
また、奈良市教育委員会が寄託を受けた含水居蔵鏡について、全138面の写真図録を付録として掲載した。これまで、部分的に写真が掲載された刊行物はあったが、本書がはじめて含水居蔵鏡全点を掲載した刊行物となる。