- 源氏の薫り
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- 価格
- 1,540円(本体1,400円+税)
- 発行年月
- 2025年12月
- 判型
- 文庫
- ISBN
- 9784065416761
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[BOOKデータベースより]
仏教とともに渡来し、平安王朝文化の精髄「雅び」の構成要素となった薫香。紫式部は宮廷で薫香についての美意識を磨き上げ、物語に巧みに織り込んだ。登場人物の心の揺らぎや人間関係の機微を伝える香りの演出を読みとき、『源氏物語』がひらく恋の華やぎとあわれの世界、そこに浮き沈みする人々の哀歓をたおやかに綴る。
源氏の世界と香り(香りのさまざま;香りの背後にあるもの;末摘花と「えび香」;薫物の系譜;空薫物)
[日販商品データベースより]薫香への道程(清浄感と香りと;仏教と香料;香木・香草;木の香・花の香)
六種の薫物(六種の薫物;冬の香―「黒方」と藤壺出家;春の香―「梅花」と紫上;夏の香―「荷葉」と花散里;秋の香―「侍従」と明石御方;「菊花」と「落葉」)
たきもの拾遺(薫衣香・百歩香;紙の香;承和の御いましめ;こころ葉;月と追い風;移り香;芥子の香;たきしめる)
匂宮と薫君(「匂ひ」と「薫り」;匂宮;薫君;墨いろの世界と薫り)
「源氏香」について
香りで読みとく『源氏物語』──薫物から源氏香まで、平安王朝の雅びへと誘う一冊
平安の宮廷に漂う、ほのかな香の余韻。仏教の隆盛とともに渡来した薫香は、平安初期には宮廷や貴族の邸宅へと浸透し、王朝文化の一端として定着していきました。『源氏物語』が生まれたのは、まさにその文化がもっとも成熟した平安中期。文字、絵画、音楽、建築、造園といった芸術が形式美の極みに達し、「雅び」という美意識が時代を彩っていた頃です。
香りは、そうした「雅び」を構成する、もっともとらえ難く、それゆえもっとも重要な要素のひとつでした。衣にたきしめる「衣香」、紙にうつす香り、室内にただよわせる「空薫物」、仏前にそなえる「名香」など、香りは日常の中に息づき、身分や教養、個性を表現する手段でもありました。後年、こうした香りの文化は、香道において「源氏香」に結実していきます。
『源氏物語』において、香りは登場人物の心の揺らぎや人間関係の機微を伝える鍵として巧みに用いられています――
ふと漂う香りから光源氏の訪れを察し、動揺する藤壺。
落ちぶれてもなお、稀有な香木の香りをまとう末摘花の高貴さ。
薫君の移り香を中君がまとっていることに気づき、ふたりの関係を疑う匂宮。
護摩の芥子の香りから、自らが生霊となっていたことを悟る六条御息所。
「光る君」の二つの面をそれぞれ継承した「匂宮」と「薫君」のまとう香りの違い。
本書は、香りの描写から『源氏物語』の奥深い世界を繙いていきます。『源氏の恋文』『新訳源氏物語』全四巻など源氏関連の著作を多数執筆し、香道研究に従事して『香道蘭之園』の校訂・解題も手がけた著者による、珠玉の一冊。(解題:毬矢まりえ、森山恵)
[本書の内容]
序にかえて――源氏物語と薫香
源氏の世界と香り
薫香への道程
六種の薫物
たきもの拾遺
匂宮と薫君
「源氏香」について
朝日選書版あとがき
『薫集類抄』(群書類従版)より
参考文献一覧
解題 毬矢まりえ、森山恵
本書の初版は、1986年に求龍堂から出版されました。文庫化にあたっては、1992年に朝日選書として朝日新聞出版より刊行されたものを底本としました。