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[BOOKデータベースより]
感情主義のもと、理性偏重のエリート主義に警鐘を鳴らし、「共感と利己」「富と徳」の両立を目指した、スコットランド道徳哲学。その現代的意義を読者とともに探る。
第1部 スコットランドの感覚主義・感情主義(感情主義の段階的成立;ヒュームとスミスの道徳哲学―感情主義の誕生;コモン・センス学派の誕生)
[日販商品データベースより]第2部 スコットランド法理学(揺籃期における自然法論と自然神学;ハチスンの自然法理論;ヒュームの法理論;スミスの法理学;ケイムズの法理論)
第3部 政治経済学と市民社会論(近代スコットランドの市民社会論;ヒュームの政治思想;スミスの市民社会論とポリティカル・エコノミー;ファーガソンの市民社会論)
第4部 スコットランド哲学の意義(思想体系と現代へもたらした影響;ヒュームの共感論の現代的意義;アダム・スミス思想の現代的意義)
フランシス・ハチスン、デイヴィッド・ヒューム、アダム・スミスといった個別の思想家の名に比して、彼らを総称するスコットランド哲学の知名度は低く、体系的な研究の歴史も浅い。しかしスコットランド哲学は啓蒙の時代から近代への移行期に不可欠な役割を果たしている。それがスコットランド啓蒙思想と呼ばれるものであるが、その根幹にあるのは道徳哲学である。
その理論的基礎を理解するために重要なポイントは次の三つ。まず、カント主義哲学のような厳格な理性主義とは対照的でスコットランド道徳哲学に特徴的な「感情主義(sentimentalism)」。次に自然神学と経験科学の融合としての「自然主義(naturalism)」。そして市民社会論における「歴史主義(historicism)」である。
これらは思想家たちが積み上げてきた倫理学や法(理)学においてどのような意味をもっているのだろうか。よりよい社会はいかにして実現可能になると、彼らは考えたのだろう。そうした模索が現代にもたらす意義とは何だろうか。
スコットランド哲学の最深部に読者を誘い、〈現在〉をともに考える論考。