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[BOOKデータベースより]
イントロダクション 日本語教育の概略的俯瞰と問題意識
[日販商品データベースより]第1部 理論編 言語の習得と習得支援を考える(バフチンとヴィゴツキーから学ぶ―対話、言語的思考、発話;習得支援としての言語教育の一例―自己表現活動中心の基礎日本語教育)
第2部 政策編 CFERと日本語教育の参照枠(日本語教育の参照枠について;CEFRが提唱するアプローチと新たな日本語教育の構想)
第3部 評論編 習得支援のための日本語教育の創造に向けた諸テーマ(日本語習得の不利な条件―他人言語の学習;日本語習得の有利な条件―日本語には文法らしい文法はほとんどない;言語教育を考えるにあたっての基本的な眺望―言語技能の形成から言語の直接的なオペレーションへ;なぜいい授業ができないのか―教育企画の重要性;コーディネータの立場と役割と責任;教育企画と教科書と教育実践;「わたし」に根ざした言葉の習得と習得支援;言語知識と運用能力をめぐって―明示的知識と隠在的知識の問題;シャドーイングのキモは疑似的な発話経験;言語教育における主体的学び―主体的学びではなく、主体的言語活動従事が重要)
筆者は45年以上にわたり日本語教育の現場に携わり、理論的根拠に基づく教育を実践してきた。本書はその経験と、言語・自己・コミュニケーションの本質に迫る探究を通して得た、日本語習得と習得支援の理論的視座を論じる。日本語教育への理解が深まり、授業への向き合い方が変わる。
■「はじめに」より
筆者は45年以上日本語教育の現場で仕事をしてきました。そして、筆者なりの物の見方と理論的根拠に基づいて、日本語教育を企画し、教材・リソースを制作して提供し、同僚教師とそれらを共有して、大部分の学習者が設定された目標を達成する教育を実践してきました。そして、一方で、日本語学や社会言語学や第二言語習得研究などに留まらず、心理学、社会学、文化人類学、言語哲学などの分野に分け入り、そもそも言語とは何か、自己とは何か、人が言葉を発するとはどういうことか、なぜ人と人はコミュニケーションできるのかなどの根本的な問いを探究してきました。そうした探究をするのは、日本語教育は日本語の文型・文法や語彙や実用的コミュニケーションのための表現などをただ教え学ばせることではないと考えるからです。また、そうした深みにまで足を踏み入れてこそ、何をどのようにすれば学習者において日本語の習得や上達を促進できるかの理論的根拠を深みと厚みのある形で示すことができると考えたからです。
本書では、そんな筆者がもっている、日本語の習得と習得支援をめぐる物の見方やその理論的根拠について論じたいと思います。本書は、日本語の教授法や指導法などを紹介する本ではありませんが、本書を読むことで、日本語の習得と上達の見え方や、日本語の習得・上達支援のあり様の見方が変わり、現在及び将来のあなたの授業の計画や授業の実践が大きく変わるでしょう。