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[日販商品データベースより]
『機械系のための力学通論』は,著者が約35年にわたり機械工学を志す学生に行ってきた教育と研究指導の経験に基づき,機械工学の背骨ともいえる動力学(ダイナミクス)の基礎から応用までを,具体的には大学初年度に学ぶ基礎力学(第1章〜第11章)から専門科目の機械力学・機械振動学(第12章〜第16章)までの内容を,統一的な視点で体系的に論じた教科書または参考書です。読者対象は,機械系の学部生や大学院生をはじめ,若手研究者やエンジニア,さらには力学教育に携わる教員まで幅広く想定しています。
これまでの教育や研究を振り返って痛感するのは,動力学を真に理解して自在に使いこなせるようになることも,それを可能とするように教えることも,決して容易ではないという事実です。教科書の演習問題を解くことができても,実際の機械における複雑な動的現象に直面すると歯が立たないことは少なくありません。その原因の多くは,運動の法則やそこから導かれる種々の関係式を公式として断片的に暗記したにすぎず,それらの物理的意味や適用限界,さらには動力学体系の全体像を十分に理解できていないことにあります。
こうした事態を避けるために,本書では,新たに現れる物理量や関係式について,「なぜそのような定義や展開が必然的で有効なのか」を運動の法則と結びつけて丁寧に説明しました。その過程で必要となる数学的知識も他書を参照せずに理解できるよう配慮し,数式展開は途中経過を省略せずに記述しています。重要な概念については歴史的背景などを補注として添え,論理の流れを追いながら興味を持って力学体系を深く理解できるよう工夫しました。演習問題は基礎的なものから発展的・実践的な題材まで幅広く収録し,すべてに解答を付しています。学習意欲さえあれば自学自習が可能な構成とし,読者が動力学の魅力と威力を実感しながら,基礎力を確実に定着させ,応用力を養うことができるよう意を尽くしたつもりです。
さらに,本書は単なる知識の羅列にとどまらず,読者が自ら考え,現実の問題に対応できる力を養うことを目的としています。そのため,必要に応じて高度な内容にも踏み込みました。少し難しく感じる箇所もあるかもしれませんが,主体的に取り組めば,動的現象を解析する確かな視点を獲得し,将来,研究や技術開発の現場で自信をもって活用できる素地を培うことができるでしょう。
要するに,本書は,著者自身が学生,研究者,教育者として力学に向き合った各段階で,「このような教科書あるいは参考書が手許にあれば」と願った一冊を,著者なりの一貫した視点と統一した表現で具現化したものです。力学は「ものづくり」の根幹にあり,高性能な機械の開発に不可欠な動的現象の理解と解析のための強力な道具です。本書を通じてその奥深さと可能性に触れ,将来の研究や技術開発の座右の書として活用していただければ望外の喜びです。そして願わくは,本書の読者の中から,次の世代に向けた新たな『機械系のための力学通論』を編み出す人材が現れることを期待しています。