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[日販商品データベースより]
がん患者の緩和ケアのうちマネジメントが特に重要である4症状「痛み,便秘,不眠,せん妄」の緩和薬剤の情報と投与時の看護のポイントを手軽に調べられるガイドブック.医師による処方の考え方と,薬剤に視点をおいたアセスメントの仕方や臨床推論を学べる.薬物療法を受ける患者の看護を行う際の思考回路が整理され,今よりもっと,看護が楽しくなる!
【書評】
やや看板に偽りがある本である.タイトルだけみると,がん緩和ケアで使用する薬の使い方や副作用を解説した本のようにみえる.実際にがん緩和ケアで使用するほとんどの薬剤の解説や看護の視点から注意することなどについて,添付文書を超えた実践的内容が網羅的に書かれているので,辞書的に使用することもできる.しかし,本書の本質は「がん緩和ケアの薬物療法に関する臨床推論」のテキストである.
臨床推論とは,患者の症状や検査結果などから,どのように診断し,どのような思考プロセスで治療方針を決定し,実際の治療やケアを行うかという一連のプロセスである.臨床推論というと,「医師が行うもの」というイメージがあるかもしれないが,看護師にもよいケアを提供するための臨床推論がある.
臨床の場面で,「私が医師に伝えても医師が動いてくれなかったのに,あの専門看護師が伝えると医師は処方を再検討してくれた」という経験をした人も少なくないと思う.専門看護師と私では何が違ったのだろうか?―この問いの答えが本書にある.
専門看護師や認定看護師などエキスパート看護師の頭のなかには,医師がどのような臨床推論を行い,そして看護師は何を考えなくてはならないかということが,知識および経験として蓄積されている.そのため,医師が納得する説明と交渉が可能であり,そこには看護師の視点が十分に反映されている.本書は,そのようなエキスパート看護師の経験を出し惜しみなく言語化したものである.
本書を読むことによって,「なるほど,医師はこのように考えて薬を処方したのか」「そうであれば,看護師はどういう視点で患者のアセスメントを行い,ケアを構築しなければならないのか」という看護師としての臨床推論のプロセスを理解できるようになる.そうなったとき,あなたもエキスパート看護師に一歩近づいていることだろう.
がん看護29巻6号(2024年11-12月号)より転載
評者●宮下光令(東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野)