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[BOOKデータベースより]
一億総「前向き」社会の中、「後ろ向き」のまま、社会を変えるための運動に携わることは可能なのか。知の巨人・鶴見俊輔を、今改めて、社会運動論として読む。
序章 なぜ「鶴見俊輔と社会運動」なのか
[日販商品データベースより]第1章 一九六〇年代と「市民運動」(出発点:アメリカ留学とプラグマティズム;一九六〇年代前史:「思想の科学」;六〇年安保と「声なき声の会」;ベ平連;一九七〇年代以降をどう見るか)
第2章 『日常的思想の可能性』を読む(プラグマティズムによる社会運動論:『限界芸術論』との対比から;「言葉」を通した日本社会批判;集団の組み方;社会運動のための知恵)
第3章 鶴見俊輔を位置づける(丸山真男からの批判;補助線としての「ベ平連」;小田実との差異;吉本隆明との接点)
第4章 流されながら社会に関わる(そもそも社会運動とは何か;鶴見俊輔の社会運動論;押し流されながらの主体性;ためらいつつの社会運動論)
終章 鶴見俊輔を「現在」こそ読む
戦後日本思想界において間違いなく大きな存在である鶴見俊輔は、アメリカのプラグマティズムを日本に紹介した哲学家、また多岐にわたる領域への言及を重ねた評論家、さらには大衆文化への幅広い目配りをした著作なども数多く、なかなかとらえがたい巨大な存在と言えるだろう。本書は、そんな中でも、これまであまり触れられてこなかった、また著作物としてはほとんどない「社会運動家としての鶴見俊輔」に焦点を当てた。
60年代の鶴見にとって社会運動へのかかわりはかなり大きな比重をもっていたが、時代の変化、そして本人の抱える身体的・精神的問題もあり、その空気感は次第に薄められていった。今回、この企画発案のきっかけとなったのは、2010年代の「オキュパイ」運動に端を発した新しい世代による社会運動の世界的な盛り上がりである。日本でも、東日本大震災以降、2012年の原発再稼働反対、2015年の戦争法案反対運動など、ながらく無風だった社会においてある変化の兆しが見られた。そこには、60年代から70年代安保の時代での社会運動が持っていた熱や理想主義とは違う、新しい感覚による市民の動きがあると著者は見立てる。それは、従来のいわゆるポジティブで前向きな大きなものを反転させたもので、あくまで個人的なリアリティを持てるもっと小さなサイズの運動で、そこには3つの反転発想がある。
1.「理想的な社会の建設を目標とする」⇒「理想到達ではなく最悪を回避するための抵抗」、
2.「自らをしっかりと確立し主体的に動いていく」⇒「流されていく中で自己と向き合い自分の言葉で考え発見していく」、
3.「他者を巻き込んで大きな流れにしていく」⇒「渦の大きさではなくまず自分のための社会運動を目指す」。
このようなネガティブさを含みつつ「後ろ向き」のままで、社会や政治にかかわっていこうという鶴見の特異な運動理論が、自己責任論の中での生きづらさや疎外感を感じる若い世代への一つの可能性を持つのではないだろうか。本書ではそんな新しい社会運動論を提示してみた。