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[BOOKデータベースより]
第1部 食糧と兵士の戦時徴発―管理社会化への道程(日本戦争期の戦時徴発と出会変容―戦時秩序生成に関する序論的考察;日中戦争期の戦時食糧政策の執行過程と地域社会;食糧の徴発からみた一九四九年革命の位置;戦時災害リスクの構造と管理社会化)
[日販商品データベースより]第2部 せめぎあう徴兵と社会―同調圧力の技法と閉塞状況(日本戦争期の知識青年従軍運動―抗日ナショナリズムの光と影;戦後内戦期の徴兵制導入と都市社会;人民共和国初期の義務兵役制と都市の青年たち;人民共和国初期の義務兵役制と農村社会)
第3部 社会のなかの兵役負担者たち―新たな権利主体の戦時戦後経験(日中戦争期の出征兵士家族援護と社会変容;戦後内戦期の兵役負担者と地域社会;朝鮮戦争期の兵役負担者援護―農村の場合;復員兵士たちの戦後経験―都市の場合)
第4部 戦時の社会動態と政治文化―中国戦時秩序の諸相(日本との比較からみた戦時社会支援事業―総力戦と基層社会;農村社会と政治文化―近代化、戦争、革命;戦争と「民意」のゆくえ)
【序章より】(抜粋)
本書のタイトルにもなっている「戦時秩序」という概念について簡単に言及しておこう。通常、近代国家において本格的な戦争が勃発すると、戦争遂行に必要な物的人的資源を大量かつ効率よく動員するために、社会経済や国民生活に対する管理・統制の強化が要請される。この要請をうけて、まず国家機構や法制度の再編成が上から断行され、平時の体制から戦時体制への移行が開始される。
しかし、ここで留意すべき点は、こうして上から構築された戦時体制が国家のねらいどおりに機能するかどうかは、けっして自明ではないということである。本書では、戦時体制に生命を与え、これを下から支える固有の社会秩序を、さしあたり戦時秩序と呼ぶことにする。その戦時秩序の生成は、戦時体制の構築に促され、これとパラレルに同時進行することもあるが、多くの場合、相互に齟齬が生じることもまた珍しくはない。たとえば、本書で具体的に描き出すように、社会が戦時体制を受け付けず、その期待された機能を著しく損なってしまう場合も普通に観察されるのである。
他方、戦時体制が解除されれば、戦時秩序もまた、それと同時にあたかも何もなかったかのように雲 散霧消するわけではない。その含意についても注意を促しておきたい。長期にわたる戦争や国際緊張の もとで社会に根付いた戦時秩序は、客観情勢が大きく変化しても、人々の日常の行動様式や意識構造に 深く根を下ろして、その後も長く居座り続けることもある。甚だしい場合には、いわば負の遺産として、 戦後における国家や社会がとりえる選択肢の幅を著しく狭め、そこに不穏な歪(ひず)みや新たな惨劇を引き寄せてしまう可能性も皆無ではない。(中略)そして、今日の中国が抱える根深く深刻な諸問題の背後にも、複合的な要因がさまざまに絡んでいるにせよ、苛酷な総力戦にさらされ続けたなかでその身に背負うことになった負の遺産が影を落としていると考えている。この点も、本書に盛り込んだ主要な問題意識にほかならない。