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[BOOKデータベースより]
批評に意識の躍動をさぐる。小説の醍醐味はその世界に読み手の実生活とは違う人生を創り出すことにある。だが宿命的に作品も批評も生活も言葉の指示的側面にさらされる。それが専門用語やイデオロギーにまで上昇すればそれに縛られてしまう。小林秀雄と福田恆存は批評を通して、言葉よりも身体感覚で芸術の美を伝えようとした。それを多くの人が瞬時に共に体験することで、個別の自我に分断された現代人が他者に対する意識を回復してゆく場面に、私たちは本書で立ち会うことになる。
第1章 小林秀雄論―批評思想の核心(観念とイデオロギーへの上昇;「意匠」批判の展開;「意匠」の弊害;「意匠」からの下降;社会と文学 ほか)
第2章 福田恆存論―自己意識のゆくえ(自然主義文学・私小説と自我意識;新感覚派・プロレタリア文学と自我意識;自己意識の外部へ;演戯論;言葉と身体;身体としての自然;信仰)