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[日販商品データベースより]
肺高血圧症は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)にしても慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)にしても難治性疾患であり、かつては治療法が極めて限られていた。診断についても、かつて肺動脈造影はリスクが高いことから一部の専門施設でしか行われておらず、結果としてCTEPHや末梢型狭窄が正しく診断されていないということもしばしばみられた。しかし、この10数年のうちに診断においても大きな進歩がみられ、治療においてもPAHに対する肺血管拡張薬の著しい進歩やCTEPHに対するバルーン肺動脈形成術の普及により、その予後は飛躍的に改善している。まずは総論、各論においてこのような診断・治療の進歩、そして現時点での最新知見について整理したい。
また、肺高血圧診療は循環器診療の中でも近年最も著しい進歩を遂げた分野である一方、ここに来てその進歩はひと段落した感があり、肺高血圧診療はやや停滞期に突入してしまったような印象を受ける。この局面を打開するためには、病態の理解、診断、治療のいずれにおいても新しい切り口が求められているが、現在でも新しい知見を求めて全国で多くの先生が日々研究、臨床に取り組んでいる。まだ研究段階のものも多く、そのすべてが将来の臨床に還元されるかどうかはわからないが、「肺高血圧症における最新トピックス」では、そのような最新研究に取り組んでいる比較的若い先生方に執筆を依頼し、一般論に終始することなく自身の研究テーマを交えながら解説をお願いすることとした。まさにこれから認知されるであろうトピックスについても積極的に紹介していただいているので、現在肺高血圧症の診療に携わっている先生方にとっても新しい知見が得られるものと考えていると同時に、これから専門分野を決めるであろう若手循環器内科医や後期研修医の中からも、本特集号を読んで肺高血圧症に興味をもち、肺高血圧を専門とする方が出てくることを期待している。