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[BOOKデータベースより]
戦場での死者数は、第2次世界大戦後、内戦やゲリラ戦が主流となり、国家による把握が難しくなった。異なる数字が発表され、国連が機能不全に陥る中、法医学や統計学を取り入れた国際的な人道ネットワークが台頭してきている。本書は、特にベトナム戦争からウクライナ戦争までの死者数、とりわけ文民死者数の算出に注目。国家や武装勢力の軋轢や戦乱の中、実態把握のために「ファクト」がいかに求められるのか、苦闘の軌跡を描く。
序章 専門家の発言はすべて正しいのか
[日販商品データベースより]第1章 兵士はどこへ行った―戦死者保護の軌跡
第2章 殺してはならない人間―文民保護の道程
第3章 戦争の証言者の登場―NGOと国連
第4章 死者を数える―戦争のなかの統計
第5章 遺体を掘り起こす―一九九〇年代の戦争と法医学
第6章 化学兵器を追う―いかに実戦投入を確認するか
終章 戦争の実像を知りえないとしても
戦争全体の把握にはデータが肝要だ。特に死者数のデータは、戦争の規模、相手との優劣比較で最も説得力を持つ。ただ発表されるデータが正しいのかは常に疑念があるだろう。ウクライナ戦争での戦死者数についても、ウクライナ、ロシア双方から発表される数字は異なる。では、そうしたデータはどのように集められてきたのか。
戦場での死者数は、総力戦となった第1次世界大戦以降、国家による将兵だけの把握では難しくなり、赤十字国際委員会、国際連盟といった国際機関が介在していく。しかし第2次世界大戦後、特定地域での内戦・紛争・ゲリラ戦が頻発。政府側・反政府側で異なる数字が発表されていく。大国間対立で国連が機能不全に陥るなか、国際的な人道ネットワークが、先進各国や国連の支持を受け、死者数の調査・精査を行い発表していく。
本書では、特に1960年代以降のベトナム戦争、ビアフラ内戦、エルサルバドル内戦から、第3次中東戦争、イラン・イラク戦争、旧ユーゴ紛争、そして21世紀のシリア内戦、ウクライナ戦争を辿る。その過程で国際的な人道ネットワークが、統計学や法医学の知見を取り入れ、どのように戦争データを算出するようになったか、特に民間人死者数に注目する。また、データをめぐる人々の苦闘にも光を当てる。