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[日販商品データベースより]
著者の加葉まひろさんは、もと栃木県立高校の国語教師だった人で、現在、栃木県および宇都宮市民芸術祭に審査委員などとして関わっています。教師退職後の2003年からは文筆活動に入り、著書の小説『浮遊する記憶』(2016年、下野新聞社刊)で第20回日本自費出版文化賞特別賞および第7回ふるさと自費出版大賞優秀賞を受賞しました。そうした経歴からも分かるように、安定した筆力で家族の問題をさまざまな角度から小説にしています。今回の作品は、妻の思いが汲み取れなかった夫の苦悩と再生を描いた小説で、夫婦の心理の襞に静かなメスを入れています。長年、妻の不倫を疑い続けていた夫は、ある日、自身の交通事故をきっかけに、それが誤解であったことに気づくのですが、妻が負った心の傷は深く、お互いの気持ちがすれ違います。季節にも合わず、意味も不明な妻の「雪が」という言葉に、夫は悩まされるのですが、その言葉の奥に秘められた妻の思いに、夫がようやく気づいたときには、すでに永遠の別れが迫っていました。夫婦とは何か、家族とは何かを考えさせられる、心にしみる作品です。