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[BOOKデータベースより]
第1章 序章
[日販商品データベースより]第2章 関数
第3章 微分法
第4章 積分法
第5章 偏微分法
第6章 重積分法
付録
練習問題の解答
本書は,大学初年次に学ぶ微分積分の教科書であり,主に理工系の学生を対象にして書かれたものである.微分積分は自然科学・工学をはじめ諸科学のさまざまな解析において,その礎となるものである.また,物理・工学などでよく利用される複素解析,ベクトル解析,変分法などは,その考え方の種は微分積分の中にあり,その種を適切に一般化して得られる解析法である.したがって,微分積分の理解を深めることは,理工系の研究者または技術者を目指す学生にとっては,欠かせない素養である.本書はその素養が十分に身に付くように以下に配慮して作成した.
本書は大きく分けて2つの部分からなる.前半部分(第1章から第6章)は概念の出発点となる定義,そこから得られる定理(性質),そしてその定理を利用あるいは理解する上で有用な例題という構成とした.定理の証明は簡単なもの以外はその時点ではつけず,後半部分(付録Aから付録D)に回した.その代わり,定理に関連する図を多く配して,直感的に定理の概念がわかるようにした.また,各節の終わりに練習問題を設けた.基本的には例題を参考にすれば解ける問題なので,理解を深めるために是非解いてみて欲しい.練習問題の中で†をつけた問題は難易度が高い問題となっているが,いろいろ試行錯誤しながらチャレンジしてみるとよいであろう.一方,後半部分は,前半部分で省いた証明を読者が自学自習でも読みこなせるように丁寧に議論を展開して配した.昨今,証明を省略する教科書も多いが,微分積分の考え方をもとにしてさらに発展した数学(複素解析,ベクトル解析,変分法など)への一般化を考える場合,その証明の中にその一般化に際して留意しなければならない点が潜んでいる.また,理工系の学生であるのなら定理や公式を鵜呑みにせず,なぜそれが成り立っているのかを探求して欲しいとの思いもあり,その探求の一助となることを期待して,可能な限り定理には証明をつけるようにした.一読しただけではわからないものもあると思うが,じっくり読み込んで論理の展開を学び,定理の理解を深めて欲しい.
上記のような構成であるので,必ずしも数学を専門としない学生は,まずは例題・練習問題を自分自身で解いていきながら,前半部分を理解できるように努めるとよいであろう.数学は,定理に関連する具体例に数多く接して定理の有用性を実感し,また逆に,各具体例の関係性・共通性を見つけ,その一般化として定理があることを理解する,この繰り返しによって理解が深まっていくものである.著者の力量不足でそれをどこまで実現できるものになったかはわからないが,読者にとって本書がその助けになることを期待したい.さらに,余力のある学生は,是非後半部分も読み込んで欲しい.頁数の都合で加えることができなかった項目も多々あるが,本書が微分積分の理解を深めるきっかけになってくれれば幸いである.